地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

ハゲは適応的か?

 イギリスで「ハゲ」という罵り言葉がハラスメントと認定されたという記事が出て、少し話題になっている。よく知られているようにハゲ(脱毛症)には性的な偏りがあるので、「ハゲ」という侮蔑は「本質的には性別に関連している」ので、セクシャルハラスメントに当たるとか。

 男性型脱毛症には、男性ホルモン受容体遺伝子他の遺伝的多型が関連しているそうで、遺伝性のものであるし、また日本人男性の全年齢平均で約30%が発症しているそうである(「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より)。これは多型としてはかなり高い頻度なのであるが、その多型が集団内に維持されている適応的な理由というものは考えられるだろうか?「ハゲ」が罵り言葉として使用されていることからわかるように、男性型脱毛症が社会生活を送る上で有利になるような形質とは思われない。また、「ハゲがモテる」ということはない(むしろモテない)ので、性淘汰で有利な形質とも思われない。屁理屈を捏ねれば、先史時代に進化適応環境があったとかの仮説も可能かもしれないが、それはもはや科学とは呼べない代物だろう。