LGBT理解増進法案が国会で審議されるそうで、色々と話題になっているようだ。報道によると、自民・公明案、維新・国民案、立憲・共産案などがあってあれこれ議論されるようだが、自分は拙速な採決には否定的である。調べてみると、自民・公明案は「性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」、維新・国民案は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」、立憲・共産案は「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」というもので、大きな違いは”性同一性”、”ジェンダーアイデンティ”、”性自認”という用語のチョイスにあるようである。
海外で同性婚した人*1の取り扱いは各種法律上でどう扱うべきか、そういう問題は真面目に考えないといけないと思うが、今回のLGBT理解増進法案はそこまで細かい話ではなく、とりあえず「差別はダメですよ」という感じのもののようで、LGBTの中でT(トランスジェンダー)の扱いに関する各党の意見の違いのように見える。自民・公明案はTを性同一性障害のような当事者が性転換(現在の日本では可能*2、有名どころだとカルーセル麻紀とか)を希望する人を主眼にした表現で、維新・国民案はそれより広め、立憲・共産案は更に対象を広くとっている印象である。そうなると各党の考え方の違いの焦点はTの人をどう考えるかにあるように見える。
自分はこの種の問題には余り詳しくはないので勘違いしているかもしれないが、ジェンダー平等の観点から見て、トランスジェンダーの人はどうあつかうべきと考えられているのかよく分からない。日本は女性の社会進出が遅れているので、アファーマティブアクションとかそういうのが必要だとかといった議論で、Tの女性(性自認が女性な男性、ムエタイのパリンヤーはこちら)を女性として扱うべきだとかそういう議論は見掛けもするが、Tの男性(性自認が男性な女性、ボクシングの真道ゴーみたいなケース)については議論の中に考慮されているのかよく分からない。スポーツだとTの人の扱いは非常に難しいが*3、政治や経済の分野だと肉体的強度の性差はほとんど問題にならないので、国会議員なり企業の取締役の女性比率を議論する際には、Tの人達をどういう扱いにすべきかもう少し議論しても良いような気がする。男性でも女性でも性適合手術や戸籍の変更をしていない単に性自認だけがTの人は、どちらの性でカウントすれば良いのだろう?