地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

シュルトよ技術を芸術に高めよ!

昨日はTV(地上波)でK-1 WORLD GP 2008を見た。
お目当てはもちろん不人気王者と言われるセーム・シュルト
K-1創成期から活躍するレジェンドのピーター・アーツの一戦。
試合はアーツがカウンターを被弾しながらも飛び込んでの攻勢で判定勝ち(2-0)。
アーツの攻勢と言いつつも試合をコントロールできていたわけではないし、
有効打と言う観点から見るとシュルトを上回ったとも言えないので、
延長かな?延長になるとアーツは体力の消耗で厳しそうとも思ったが、
結果は多くのファンの期待に応える方向での判定となった。

自分はどちらかと言えば北斗旗王者だったシュルトを応援しているが
またアーツも好きなのでアーツの攻める姿勢と距離を上手く潰す戦術にも感心した。
それでと言うわけではないが、
会場がアーツ贔屓で勝利に歓喜して大騒ぎなのは気にならなかったが、
TV解説の露骨な応援と常連ゲストの躍り上がって喜ぶ様子には
正直なところちょっとうんざりで後味の悪い気分がした。
シュルトの「相手の攻撃を封じて堅実に勝利を狙う」というファイトスタイルが、
「自分がKOされる危険を犯してもKOを狙いに行く」という戦い方を好む
K-1初期からのファンに中々人気が出ないことは分かるが、
主催者サイドがまるで外敵であるかのような扱い方をするのは好きになれない。

スペクタクルを演出する興行論からはそうではないだろうが、
相手の良さを出させないようにして自分のペースに引き込むのは
スポーツの勝負論から言えば正道だと思うし、
少なくとも武道家を自任するシュルトにとっては当然だろう。
だから危険を犯してKOを狙うような試合をシュルトにして欲しいとも思わない。

それで思い出したのが、
やはり「相手の攻撃を封じて堅実に勝利を狙う」スタイルの名選手だった
ミスター・パーフェクトことアーネスト・ホースト
ヘビー級では小柄だったホーストとスーパー・ヘビー級のシュルトでは
ちょっと受ける印象が違うがホーストも中々人気が出なかった。
それはホーストが「相手の攻撃を封じて堅実に勝利を狙う」スタイルで
倒して倒されての派手なKO合戦とは無縁だったからだが、
ホーストが「相手を封じる」ことができるのが、
高度な技術によるものであることが広く認知され
またコンビネーションの芸術的美しさも評価されて、
少しずつではあるが人気は上がっていった。

現状ではシュルトは体格を生かして「相手を封じている」印象が強く
またハイキックなどは決して美しいと言えるようなものではない。
シュルトが一番人気になるということはないであろうけれど、
もっと技術を洗練させて芸術の域まで高めることが出来れば
道家としての生き方とも矛盾しないであろうし
また今よりも人気が出るではないだろうか。