地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

2019-01-01から1年間の記事一覧

最善の説明への推論としての枚挙帰納法

科学哲学方面で「最善の説明への推論」(inference to the best explanation、IBE)と呼ばれる推論のやり方がある。与えられたデータや証拠に対して、それを最も上手く説明できる仮説を選ぶといった推論のやり方のことで、1965年のギルバート・ハーマンの論…

蒙古襞と蒙古斑

よく知られていることだが、北方モンゴロイド(寒冷地適応したモンゴロイド)の形質的な特徴としてあげられる蒙古襞(目頭の襞)というのがある。北方モンゴロイドの平坦な顔と一重瞼の細い目は凍傷を防いだりして寒冷な気候に適応した形質だというのは納得…

フリーはつらいよ

先日、とある学会の懇親会で「無所属」(学会発表でそのように書いておられた)研究者の人とちょっと話をした。論文を投稿しても中々受理されないどころか、「きちんと査読に回してもらってるか疑ってしまうようなこともある」と嘆いておられた。懇親会で話…

科学的実在論論争が科学から見て無益であること

先日の記事「科学哲学は科学を理解するのに役に立つのか?」を書いたものの、何故そう思うのかについては説明していなかったので、そのあたりを少し補足しておこうと思う。 以前に「滅びゆく科学哲学:伊勢田哲治『科学哲学の源流をたどる』」でも書いたのだ…

科学哲学は科学を理解するのに役立つのか?

科学哲学と科学者との関係について「科学哲学は鳥類学が鳥にとって役に立つ程度しか科学者にとって役に立たない」(”The philosophy of science is just about as useful to scientists as ornithology is to birds.”)という比喩がよく知られている(R.ファ…

比率の比較に気をつけろ

世間で行われている比較の議論でよく見掛けるものに、比較される2つの集団で、ある現象の比率が一方で高いのに、もう一方では比率が低いということから何か片方の集団の特性を議論するというのがある。 この種の比較のやり方は、健康法だったり、受験勉強の…

企業研究者には在野研究者の自由はない

今年のノーベル化学賞で旭化成名誉フェローの吉野彰さんが受賞したので、ちょっと思ったことを書く。 吉野さんは2017年から名城大学の教授を務めているので、現在はアカデミアにも籍があるわけだが、それまでは基本的にはノンアカデミックなキャリアだっだわ…

フルコン+

昨日行われた正道会館の全日本大会(アディダスカップ)で、フルコンタクト空手に顔面突き寸止めを加えた新ルール「フルコン+」の試合が行われたようだ。Youtubeに大会の様子がアップされていたので見てみた。手には全空連のグローブ(拳サポーター)をつけ…

韓国の反日教育は酷いらしい

昨今の日韓関係の悪化の中で、一部の自称「リベラル」知識人が、嫌韓的言論どころか韓国側の反日姿勢の批判まで、「嫌韓感情を煽る」とか言って非難しているようだ。しかしながら韓国で行われている反日教育はかなり酷いらしいということに口をつぐんでいる…

A.ローゼンバーグ『科学哲学』

自分は学生の頃から科学哲学に関心があって色々と本も読んできた。 伊勢田哲治の「科学哲学日本語ブックガイド」http://tiseda.sakura.ne.jp/PofSbookguide.html で紹介されている中の25冊は読んだことがある。 (読んだからと言って十分に理解しているとま…

西村玲さんの自死を巡る報道への違和感

4月10日付の朝日新聞の記事 「文系の博士課程「進むと破滅」ある女性研究者の自死」が発端になって 文系博士の就職難があれこれと取りざたされている。 若くして業績が表彰されていた西村玲さんの自死の理由が 「多くの大学に就職を断られ、追い詰められた末…

自己中心主義の長い腕:トロッコ問題

とある高校教師S‏さんという人の「トロッコ問題」に関するtwitter投稿が話題になっている。 短いので全文引用しよう。 「これを昔、授業でやったら「なぜ助ける必要があるのかわからない。俺は傍観者だから放置して5人が死んでも責任はない。でも切り替え…

東久邇宮家の皇籍復帰を!

皇位を世襲のものしている日本国憲法第2条を改正しない限り、 皇族の中から天皇が即位しなければならないのにも拘らず 皇位継承資格者の数が少なくなって女性宮家の創設とか云々が取り沙汰されているが 国民の大多数が女性宮家には賛成しているとはとても言…

科学的態度を身に着けるには

偉そうなことを言えるような業績があるわけではないが、 化学系で大学院を出て科学業界の端っこで禄を食んでいるので 科学的な思考法について自分も多少は言っても良いかなと思うが、 科学的思考は文系の人が授業を受けたくらいでは身につかないと思う。 特…

滅びゆく科学哲学:伊勢田哲治『科学哲学の源流をたどる』

伊勢田哲治の『科学哲学の源流をたどる―研究伝統の百年史』を読んだ。出版元(ミネルヴァ書房)のPR誌に書いた軽い読み物をまとめたものだそうだ。同著者の『疑似科学と科学の哲学』が面白かったので期待して読んだが期待外れだった。学術書でもなければ教科…

追悼:堺屋太一「女子プロレスに地獄を創れ!」

昨日、堺屋太一が亡くなったとの報道があった。主流メディアの報道では、ほとんど触れられていなかったようだが、女子プロレスのファン、特に尾崎魔弓の熱烈なファンとしても有名だった。10年位前だったが尾崎(ヒールである)の後援会かなんかで、「女子プ…

井岡惜しかった

大晦日のWBO世界スーパーフライの井岡一翔vs.ドニー・ニエテスをTV観戦。 緊張感溢れるハイレベルの攻防で見応えがあった。 ほぼ互角でスプリット判定だったが マカオ開催ということもありホームタウンディシジョンはなかったにせよ WBO常連(ミニマム、ライ…