地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

2015-01-01から1年間の記事一覧

科学者が科学について語るときは専門家を尊重しろよ

小野昌弘という免疫学者が 「放射能恐怖という民主政治の毒(終):問題の解決に向けて」 http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20151231-00053002/ という文章を書いているので読んでみたが 非常に頭が痛い代物ですごく嫌な気分がした。 曰く 「放…

医学者に科学では社会のことは排除するとか力説されるとねぇ

ある医学系の研究者が 「科学から社会や政治の影響は可能な限り排除すべき」とかの趣旨を 力説しているのを見て正直がっかりした。 医学とかそういうのって 単に真理を追究するのではなく 社会的な意味での善を求めてもらわないと困る。 別の医学系研究者も …

そもそも酒を造っているのは人間じゃない

「これは「獺祭ショック」である――テクノロジーで作った酒は酒じゃない!?」 http://jp.techtimes.com/articles/10431/20151001/sake-dassai.htm という記事が話題になっていることを知った。 記事では「酒造の技術をコンピュータで分析し、全工程をIT化した…

私立大学では人文社会系の学問はできないのか?

文科省が国立大学の人文社会系学部を見直すように通知したことに対して あれこれと意見が出ている。 旧帝大や一橋大とか神戸大などの旧官立大クラスと そうでない駅弁大学と揶揄されるような地方国立大を 一緒くたにして議論するのはどうかとも思うが、 いわ…

御用学者はやっぱり信用できない

原子力規制委員会の田中俊一委員長が 「SPring-8は定量的な分析はできないのです。」 と発言したと聞いて驚いて調べてみたところ、 本当にそういうデタラメを言っていた。 発言は平成27 年7月1日の「原子力規制委員会記者会見録」 http://www.nsr.go.jp/da…

原発が稼働しなくても経済は

今日のニュースでは各電力会社の株主総会で脱原発を求める株主提案が否決されたことを伝えていた。一方、昨日のニュースでは株価がITバブル以来18年半振りの高値を記録したとか報じていた。原発を稼働させないと経済が破たんするだとか、そういう事を言って…

大阪のこと好きなん?

住民投票で否決されたいわゆる「大阪都構想」について 賛否についてあちこちであれこれ分析されているが、 ちょっと欠けているんじゃないかと思う視点があるので書いておく。 それは賛否と大阪生まれの大阪人か否かということの関連性。 関西に住んだことが…

二重行政をやめるもう一つの方法

先日、大阪のいわゆる「都構想」について、 大阪市解体だけが二重行政をやめる方法ではないと書いたが、 ちょっと調べてみる大阪市を解体するのとは逆に 大阪市を大阪府から独立させるというやり方もある。 皮肉なことに大阪市のウェブサイトでも紹介されて…

長谷川はまだまだいける!

昨日は長谷川の応援のために神戸に遠征して オラシオ・ガルシアとの試合を見てきた。 昨年のキコ・マルチネスに挑戦して負けて以来の試合で 相手は29勝21KO無敗のハード・パンチャーということもあって とても心配したがスピードで圧倒しての判定勝ち。 自分…

大阪市は政令指定都市をやめたらいいんじゃないの?

大阪市を解体して特別区にしようという いわゆる「大阪都構想」が住民投票に掛けられるということだ。 自分は大阪市民ではないので余計なお世話かもしれないが 議論があまりにも低レベルに感じるので ちょっと意見を書いておこうと思う。 「大阪都構想」の最…

卒業した後の人生の方が長いのヨ

はてな匿名ダイアリーの「息子の史学科進学を支えたい 」 http://anond.hatelabo.jp/20150425011839 という記事が話題を集めているようだ。 日本でスリランカ史を歴史学として大学院で学べる大学があるのか疑問なので 話を額面通りに受け取らない方が良いよ…

不信心者も神は祝福するのか?

『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体』という本の 著者の森本あんりという人が読売新聞に取り上げられていた。 http://subsite.icu.ac.jp/people/morimoto/Texts/AntiIntelYomiuri.pdf なんだか反知性主義の定義が恣意的な感じで好かないのだが そ…

「助けて下さい」とか連呼するような候補には投票したくない

今日は統一地方選挙ということで投票に行ってきた。 昨日までの選挙運動期間中に選挙カーから 「苦しい戦いです、○○を助けて下さい」とか呼び掛けている候補がいた。 同情を求めて訴えるとある程度の票が見込めるから ああいうような呼び掛けをするのだろう…

高度プロフェッショナルなら労働者じゃなくて個人事業主にしたら

報道によると労働基準法の改正案では、 以前に出ていたホワイトカラー・エグゼンプションを 「高度プロフェッショナル制度」という名称にして 時間給ではなくて成果に対して報酬を払う方式にするらしい。 曰く、高度な専門的知識があり、 職務が明確に定めら…

霜田>>原

昨晩はTVでサッカー日本代表vs.ウズベキスタン代表を見た。 ウズベキスタンは直前の3/27にアウェイでの韓国戦で引き分けているし、 親善試合とはいえコンディションは悪くはないようで 早い時間帯に青山の鮮烈なミドルで得点した後は拮抗した展開だったが 後…

科学の進歩へ寄せる信頼は科学者の間なら普通だろうけれど

一昨日、感想を書いた『世界を騙しつづける科学者たち』を読んで思ったのだが、 この本で槍玉に挙げられているような科学を捻じ曲げる一部の科学者が 環境保護主義的な規制に反対する心情の根っこには市場原理主義もあるが同時に、 「環境問題はテクノロジー…

オレスケス&コンウェイ『世界を騙しつづける科学者たち』感想

原題は"Merchants of Doubt"(疑念の商人)。 邦題よりも原題の方が内容を良く表しているが、 タバコの発癌性や地球環境問題などの分野で 主流の科学的知見に対する疑念を広める活動を積極的に行った 何人かの元は科学者であった人達についての本だ。 一番の…

「科学者ヘイト」なんてあったの?

サイエンスライターの片瀬久美子という人が 「科学者ヘイト」というのがあったとか言っているそうだ。 http://togetter.com/li/786860 その中で「原発事故後の「科学者ヘイト」も凄まじかったんですよ。」 とか言っているがそんなのあったのだろうか? 確か…

漢方医学が科学でないと思う理由

最初に断わっておくが、 漢方薬の一部にはきちんとした薬理作用があって それを治療に役立てることはできると考えている。 しかし漢方薬の有効成分の薬理作用の研究などは 天然物化学と薬学の学際領域である生薬学に属し、 治療体系としての漢方医学とは全く…

科学者への不信について、原発事故とSTAP事件

小野昌弘という人の 「放射能恐怖という民主政治の毒(11):煽られる不信・くすぶるデマ」 http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20150222-00042905/ という記事を読んで少し違和感を覚えた。 福島の原発事故でいわゆる御用学者というか原子力専門…

ミドリムシにがっかり

(株)ユーグレナというところが日本ベンチャー大賞というのを受賞し http://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150122003/20150122003-1.pdf 昨年暮れには東証一部に上場するなど 破竹の勢いの快進撃を見せ話題を呼んでいるようだ。 なんでも東大発のバイオベ…

Bad Science

B.ゴールドエイカー『デタラメ健康科学』(原題:Bad Science)を読んだ。ホメオパシーのような代替療法から製薬会社のインチキや、マス・メディアの報道の問題など広く取り上げた一般向けの書籍。いわゆるニセ科学問題を考える上で非常に良いと思った。 ホ…

SFもニセ科学

ニセ科学について書いている「科学のようで科学で無い」という面白い文章を見つけた。 http://d.hatena.ne.jp/ublftbo/20150204/p2 その中で、 「科学のようで科学で無いというのが、ニセ科学の一般的な定義」 という論点から出発して その中で、 「わざと科…

科学とされるものの科学性を評定してもらいたい

明治大学科学コミュニケーション研究所というところの 「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」 http://www.sciencecomlabo.jp/index.html というのがあるということを知った。 取り上げられているのはまだ少数でリストはこれから拡充されるのだろうが、…

STAP騒動1周年に思ったこと

1年前の理研の記者発表から1周年になるので、少し気になっていることを書いておこうと思う。STAP細胞に関する2本のNature誌の論文には研究不正があり、研究成果と称するものは実は虚構だったということなのだが、これを小保方晴子という特異な人物の仕業と片…

インフルエンザワクチンは有効

Business Journalとかいうサイトが 「WHO、インフルエンザはワクチンで予防不可と結論」という記事を出したせいで インフルエンザワクチンには効果がないとするデマがネットで拡散しているらしい。 それに対してWHOはそんなことは言ってませんと指摘するブロ…

20年目の1月17日

前にも何回か書いたこともあるが、 阪神・淡路大震災が発生した時、 勤め先が被災地にあったので、 この日が来ると何とも言葉にし辛い気分になる。

赤崎勇『青い光に魅せられて』感想

昨年ノーベル物理学賞を受賞した著者が2013年に出した語り下ろしの回顧録。 青色ダイオード開発の軌跡はもちろん非常に興味深く読めたが、 京大卒業後、神戸工業入社、名大助手~助教授、松下電器研究所を経て名大教授と 企業と大学の間を行き来しながらの研…