地獄のハイウェイ

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K-1の黄昏

昨夜はTV(地上波)でK-1を見た。
そもそも、昨年の王者であり一回戦で微妙な判定負けのシュルト
リザーブ戦にさえ出場しないという、
競技スポーツとしては大きな問題点を抱えての決勝トーナメントだったが、
準決勝までは好試合が多くて楽しめた。
特にバダ・ハリピーター・アーツを一方的な展開で下したのは
世代の交代を強く印象付けた試合だったし、
(試合後のバダ・ハリのアーツに対する座礼が好印象)
やはりバダ・ハリエロール・ジマーマンと倒し倒されの攻防を制した試合は
非常にスピードと緊迫感のある好試合だった。

問題はそのバダ・ハリボンヤスキーとの試合で反則大暴走。
柔道の朽木倒しのような足を取っての押し倒しから、
打ち下ろしのパンチ(これは不発)と更に顔面への踏みつけ(命中)。
顔面への踏みつけはPRIDEが認めていたので日本ではポピュラーだが、
海外の総合格闘技では禁止されているところが多い危険行為。
相手のダメージの有無に関係なく一発で反則負けにすべき暴挙だ。
解説の魔裟斗が「1年くらい出場停止にすべき」と言っていたが
自分もそう思う。

それにしても何でそこまでエキサイトするのか理解できない暴走行為。
感情的な暴発ではなく確信犯ではないかと疑ってしまう。
もしも確信犯だったとすると
今回の出場選手の中でアーツvs.シュルト戦の判定に異を唱え
シュルトはつまらないから追い出したかったのだろうがスポーツ的にはおかしい」と
K-1のエンターテイメント優先の姿勢に疑問を呈していたバダ・ハリだけに
なおさら不可解な感じがする。

ボンヤスキーは、昨年ミルコのスパーリングパートナーをしていたのだから
寝転がった状態で無防備でいるのが危険なことは知っているはずなのに
打ち下ろしのパンチの後に防御を固めなかったのは問題だ。
自分はダメージがあろうがなかろうがバダ・ハリの反則負けにすべきと思っているが、
ボンヤスキーが数年前のvs.ボブ・サップ戦でも反則勝ちを拾っていることもあって
奇妙な既視感もありサッカーで言うところのシミュレーション(偽傷行為)を連想させ、
真実はどうであれ見ている側は複雑な感情をもってしまう。
角田レフェリーも打ち下ろしのパンチの時点で、
ボンヤスキーの方を見ていてバダ・ハリを止めなかったのは失敗ではないだろうか。
打ち下ろしパンチでも反則行為なのだから、
すぐにバダ・ハリに抱きついてでも反則行為の続行を止めるべきだったと思う。

世代交代の時期を迎え、なりふり構わぬシュルト外しの上に、
新世代の旗手のはずだったバダ・ハリの暴走による後味の悪い決勝戦
K-1の黄昏を感じたのは自分だけではないように思う。