地獄のハイウェイ

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年度末の予算使いきりをやめさせよう

報道によると菅国家戦略担当相が複数年度予算の導入を検討すると言っているそうだ。
今の行政には年度末になると、
道路の掘り返しに代表される必要性が疑問な予算執行が集中し、
予算の使い切りとか年度末予算消化とか呼ばれている無駄遣いが見られることは有名だ。
この無駄遣いの元凶が予算の単年度主義にあるというのが大方の見方なので、
複数年度予算の導入によってそれが抑制されるのなら結構な事だとは思う。

ただ、予算を複数年度にしても予算を使い切る事が正しい事だとか
予算を余らせるのは行政的に拙い事だとかいう考え方をやめさせなければ、
最終年度に予算を使いきろうと消化されてしまって
複数年度予算にしても効果は限定的ではないだろうか。

あちこちで既に指摘されているが、このような年度末予算消化は
予算を消化し切れずに余らせてしまうと
翌年の予算編成の際に厳しく査定されて減額されてしまうため
それを恐れる担当者が予算を使い切ろうとしてしまうということに原因がある。

本来ならば予算額よりも少ない費用で必要な事業を実施できたのなら、
それは効率的な予算執行であり褒めらるべきものだろう。
だからまず何よりも、
予算を沢山余らせた担当者は人事考課において良い点をつけるとかの方法で、
予算を余らせるためのインセンティブを担当者に与えるべきだろう。

次に予算の査定方式を変更して
前年度実績による査定をやめるべきだ。
現状では各省庁の予算編成は9月になるまでに行われているが一方で、
前年度決算の会計検査の報告が出るのは11月ごろということで
予算執行の無駄に関する情報なしで査定が行われている形になっている。
完全に執行されている予算はそれが巨大な無駄であっても
とりあえず前年度実績としては考慮されるというのは不味い。
変化の激しい分野ならともかく
道路行政とか福祉とか年度単位の変化が緩やかな分野であれば
前々年度の決算を元に作業しても何とかなるのではないだろうか。
そうであれば会計検査済みの実績をもとに査定すればよいはずだ。
変化の激しい分野は官僚任せにせずに政治判断の対象とすべきだろうから
前年度の実績にこだわる必要はないはずのものだ。

更に前々年度の決算を参考にする場合にも
執行額よりも各費目の起票時期を指標にして判断すべきだろう。
(今のところ会計検査では起票時期にはあまり関心が払われていない)
例えば短納期の消耗品や低額の備品の購入が
年間を通して安定した水準で起票されていないで
年度末の2~3ヶ月に集中しているのなら予算消化の疑いが強いので
起票の年度末集中率などを指標にして査定を行うと良いのではないだろうか。