ポスドクや博士号取得者のセカンドキャリアのことを
スポーツ選手の引退後のそれに喩えるような議論があるが、
正直言って自分は好きではない。
それはスポーツ選手の場合は
オリンピック金メダリストなどの勝ち組というか、
その頂点を極めたトップクラスの者であっても
現役引退後の長い人生を考えなければならないからだ。
肉体の衰えには個人差があるとは言え、
一般的な社会生活ではまだまだ壮年の最中に
競技生活の終焉はやってくる。
例えば先日引退を発表した柔道の井上康生はまだ30歳である。
華やかな栄光を極めた者であれ夢破れて去る者であれ
選手生活よりも第2の人生のほうが長いということは、
それほど大きくは変わらない。
それに対して中年になってしまったポスドク等の場合はどうか?
研究者として決定的に劣っているというのならともかく、
上の世代(下の世代ではない)と比べて差がないと思っている者なら
どんな風に諦めがつけられるというのだろうか?
それに勝ち組というかパーマネントポジションを獲得できた者は、
引退後の人生を近い将来の問題として考えなければならないだろうか?
国立大学の定年後も現役を続けている研究者もいるというのに。
スポーツ界がセカンドキャリアを真剣に考えているのに
アカデミアでそれが真剣に考えられていないとしたら、
学会ボスといったアカデミアの大立者達には、
それが自分の問題として考えられないからかもしれない。