地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

大学の話ってどの範囲の大学なの?

文部科学省の統計のページ(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/08121201/002.htm)から
データを色々と手繰ってみると興味深い。
(実際のデータは「政府統計の総合窓口(e-Stat)」にある。)

平成20年度の大学生は全体で2,520,593人(国立大454,653人、公立大114,128人)で
全体の77%強が私立大の学生である。
因みに、理学部に限ると全体で47,890人(国立大27,010人、公立大2,179)だから
理学部全体の61%程が国公立大に属する。
また理学部が全体に占める割合は約19%である。

一方で博士課程の院生数は全体で74,231人(国立大51,614人、公立大4,445)で
全体の76%弱が国公立大である。
(博士課程vs.大学生の人数比は3%弱といったところ)
理学研究科及び理学系研究科に自然科学研究科を足すと、
全体で4,108人(国立大3,750人、公立大161人)と国公立が95%を占める。
これにナントカ理学のようなものを併せても、
全体で5,104人(国立大4,673人、公立大208人)と国公立が95%を占めることは変わらない。
更にこれに理工学とかナントカ理工学を加えると
全体で7,957人(国立大6,196人、公立大300人)で国公立大の占める割合は81%程度。
学科名の改称の影響でここからもれているものもあるとは言え、
この種の基礎科学系は博士課程全体の11%弱といったところ。

これらの統計から考えるに、
大学関係者が(応用科学でない)基礎科学の振興云々で議論しているのは
学生全体の凡そ3%程の博士課程の中の更に10分の1強での話なのだ。
世間一般で考えられている「大学像」では私立大が圧倒的マジョリティだが、
そこ(基礎科学系)では国公立大の占有率が圧倒的だ。
政治家や官僚が「大学の将来像」を語るときに念頭にあるのはどこだろう?
あるいはマスメディア関係者にとっての「大学」というのは、
一体どんな範囲の大学を意味しているのだろうか?