地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

ダン・アリエリー『ずる ― 嘘とごまかしの行動経済学』

ごく普通の人がする嘘やごまかしといった不正についてのポピュラー読み物。
行動経済学というよりも社会心理学の範疇の話題が中心だと思うが楽しく読めた。
ごまかしが行われる頻度はそれによる利益の大きさとか
あるいは見つかる危険の大きさは
あまり関係ないというのは特に興味深かった。
むしろ自己正当化が容易かどうかが大きなファクターのようだ。
創造性が高くて自己正当化に長けた人などは不正に手を染めやすいようだとか
他人の不正を見た場合にそれが仲間なのか排除の対象になるようなよそ者なのかで
不正しやすくなったり正反対になったりとか
あるいは協働作業で不正によって自分以外のメンバーが利益を受けるような状況だと
非常に不正が行われやすいとかの話が紹介されていて色々と考えさせられる。


研究不正も大部分はここで扱われているような
普通の人の行うちょっとした不正と類似のものだから
科学コミュニティもこういう社会心理学的知見を参照するなりして、
もう少し「科学的」に議論したらいいのにと思った。