久し振りに「ご冗談でしょう、ファインマンさん」を読み返していたら
ファインマンがコーネル大学からカルテク（カリフォルニア工科大）へ移るあたりのところで
ＤＮＡの半保存的複製を証明したマット・メセルソンの話が出てきているのに改めて気づいた。
ファインマンはメセルソンの学位の選考委員をやったそうである。
メセルソンの学位の主査はＬ．ポーリングである。
ファインマンは1951年からカルテクにいたそうだから
ポーリングが平和活動を理由にパスポートの発行を拒否されたりとか
マッカーシズムで議会の喚問を受けたりしたことは
当然知っていたはずだ。
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」にはその手の話は出てこない。
開けっぴろげな率直さで知られるファインマンでさえ、
この種の話題には触れたくなかったのではないかとも思われるそのことから
当時のマッカーシズムなどの凄まじさが垣間見られるような気がする。
