日本医科大学の丸山千里教授（1901～1992）が開発した
結核菌からの抽出物である丸山ワクチンは
一部の擁護者からは画期的な癌治療薬と喧伝されながら
認可を巡る極めて不明朗な状況の中で政治問題化し
相当にマスコミを賑わしたが、
1981年に有償治験薬という中途半端な状態になり、
現在もそれが続いている。
当時、厚生省が認可しなかったのは
大阪大学総長も勤めた医学界の大物・山村雄一教授(1918-1990)が
同じような結核菌細胞壁成分を使った免疫療法の開発に取り組んでいたため
畑違いの丸山教授の進出に怒って反対したからだという噂もあり
一時期国会でも議論されるところまで問題化した。
これに関しては衆議院の議事録（第94回国会、社会労働委員会）が参考になる。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/094/0200/09407300200020c.html
なお山村雄一の結核菌成分による癌の免疫療法に関しては
直系の研究者の次の記述も興味深い。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Himawari/6015/hayashi.htm
結核の弱毒ワクチンであるBCGに関しては
膀胱癌の治療に使われているようであるし
（参考サイト：http://www.tcc.pref.tochigi.jp/info/hinyou2_1.html）
丸山ワクチンには一部の擁護者の言うような特効薬的な効能はないものの
免疫賦活作用はあるのではないかと思われる。
学界に政治が絡むので信用ならないのは当時も今も変わらないのかもしれないが、
丸山ワクチンのそのもの有効性に関する科学的検証ともに、
研究不正問題の場合と同様の調査による問題の総括が
ぼちぼち行われても良いのではないかと思う。
