地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

医療・病気

リバウンドと呼ぶのは不適切

新型コロナ感染症の新規感染者数が増加傾向にある。マスコミ的には「緊急事態宣言の解除によるリバウンド」と呼びたいらしいが、全く以て不適切。まず東京都が増加傾向に転じたのは、末期とはいえ緊急事態宣言期間中である。あるイベント(緊急事態宣言解除…

新型コロナウイルス感染症ワクチンについての疑問

英国では昨年12月8日からファイザーとビオンテックが開発した新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が大規模に始まったと報道されたが、その後に流行が抑制されたようなことはなくて、むしろ日々の新規感染者は増えているようだ。感染力の強い変異株の出現…

Stay at home!

4月16日、新型コロナウイルスの感染拡大に対して政府は緊急事態宣言の対象を全国に拡大した。4月7日に7都府県に対して緊急事態宣言を出したときに安倍首相は「人と人との接触機会を最低7割、極力8割、削減することができれば、2週間後には感染者の増加を…

新型コロナウイルスとマスクの効果について

世界的な流行(パンデミック)を引き起こしている新型コロナウイルスであるが、素人の印象としては医療関係者の感染が割合と多いような気がする。医療関係者が原発作業員を思い出させるような防護服を着用しているような状況でも感染するケースもあってちょ…

武漢コロナウイルス感染の増大傾向について

武漢で流行が始まった新型コロナウイルス>感染の確認された患者数(中国で公表された数)の増大傾向について、2月6日に書いた「武漢コロナウイルス感染は依然として対数増殖期」で、1月27日に書いた「対数増殖期にある武漢コロナウイルス感染 」と比べると片…

武漢コロナウイルス感染は依然として対数増殖期

武漢で流行が始まった新型コロナウイルス感染の確認された患者数(中国で公表された数)が1月16日から対数増殖期に入ったことは間違いないと書いたが、 katsuya-440.hatenablog.com 片対数グラフの傾きが半分ほどになったものの、依然として対数増殖期とみな…

対数増殖期にある武漢コロナウイルス感染

中国湖北省武漢で流行が始まった新型コロナウイルスによる感染症が大きな社会問題になりつつある。政府は指定感染症に指定するとの報である。それでちょっと調べてみたのだが、感染が確認された患者数(中国で公表された数)を見ていたら、1月16日から対数増…

エキスパートシステム再来

今日の夕方のNHKニュースで 「人工知能 病名突き止め患者の命救う」とかいうのを報道していたが、 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160804/k10010621901000.html 大騒ぎするような画期的なものではなくて、 ちょっと大袈裟な誇大宣伝のような気がする。 …

医学者に科学では社会のことは排除するとか力説されるとねぇ

ある医学系の研究者が 「科学から社会や政治の影響は可能な限り排除すべき」とかの趣旨を 力説しているのを見て正直がっかりした。 医学とかそういうのって 単に真理を追究するのではなく 社会的な意味での善を求めてもらわないと困る。 別の医学系研究者も …

Bad Science

B.ゴールドエイカー『デタラメ健康科学』(原題:Bad Science)を読んだ。ホメオパシーのような代替療法から製薬会社のインチキや、マス・メディアの報道の問題など広く取り上げた一般向けの書籍。いわゆるニセ科学問題を考える上で非常に良いと思った。 ホ…

インフルエンザワクチンは有効

Business Journalとかいうサイトが 「WHO、インフルエンザはワクチンで予防不可と結論」という記事を出したせいで インフルエンザワクチンには効果がないとするデマがネットで拡散しているらしい。 それに対してWHOはそんなことは言ってませんと指摘するブロ…

「ただちに危険ではありません」でないことを願う

エボラ出血熱の流行がやばい状況になってきて 国内マスメディアの報道も増えてきている。 それでちょっと気になるのは感染経路に関する情報。 厚生労働省の一般向けのQ&Aでは 「エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排…

iPS臨床試験の広報に見る不誠実さ

STAP事件の余波を受けて理研CDBの解体云々が取り沙汰されているので CDBが実施予定のiPS細胞を使った臨床試験についてちょっと調べてみた。 概要は理研広報のページや臨床試験の特設ページなどにあるが それらを見ていてちょっと疑問を持った。 http://www.r…

先天性心臓疾患を持ったサッカー選手の報道に思う

ネットのニュースを見ていたら ヘドヴィヘス・マドゥロというサッカー・オランダ代表選手に 先天性心臓疾患が見つかったと報道を目にした。 サッカー選手の先天性心臓疾患といえば、 昨年イタリア代表のカッサーノが卵円孔開存で手術を受けていたのを思い出…

医療産業が繁栄≒医療費が高騰

昨日、内閣官房医療イノベーション推進室長の中村祐輔が辞任し 来年4月からシカゴ大学に研究拠点を移すというニュースがあった。 省庁の壁に阻まれて思うようにならなかったということのようだ。 それでネットで少し検索したところ、 サイエンスポータルでも…

100mSvの死亡リスクは2010年夏の猛暑による熱中症死者よりも大

最近になって知ったのだが、 厚生労働省による統計だと2010年の熱中症による死者は1,718名だったそうだ。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001g7ag-att/2r9852000001g7fo.pdf 人口10万人あたりで1.4人だそうだ。 昨年は記録的な猛暑であったため…

突然変異は子孫に伝わるんです

雑誌「クロワッサン」の表紙のコピーに 「放射線によって傷ついた遺伝子は子孫に伝えられていきます」と、(生命科学者)柳澤桂子さん。 という文言が使われたといってネットの一部で騒ぎになっているらしい。 柳澤桂子の極めて常識的な発言が問題視されてい…

日本学術会議会長談話に見るダブスタ:低線量被曝とホメオパシー

日本学術会議会長だった(6月19日付で70歳定年制により退任)金澤一郎は、 退任2日前の6月17日に「放射線防護の対策を正しく理解するために」という会長談話を出した。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d11.pdf これに対して自分は批判した…

日本学術会議会長談話を批判する

日本学術会議の金澤一郎会長が6月17日付けで 「放射線防護の対策を正しく理解するために」というのを公表した。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d11.pdf いわく 「今回の漏出した放射性物質による一般の人々の被ばくは、このうち、しきい…

アカウンタビリティよりパターナリズムを優先する専門家達

福島第1原発の事故でヨウ素131が飛散した際に、 内部被曝対策に安定化ヨウ素剤の代用にイソジンを飲めば良いとかの噂が流れて それに対して放射線医学総合研究所(放医研)が2011年3月14日付けで 「ヨウ素を含む消毒剤などを飲んではいけません」 http://www…

team_nakagawaは信用できるのか?

リスト自体の趣旨や正確さについてはかなり疑問なところもあるが、 原発業界御用学者リスト@ウィキ(http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/) というのがあって、 そこのリストに東大病院放射線治療チーム (team_nakagawa,http://tnakagawa.exblog.jp/) が…

医師のゼロリスク症候群?

池田徳正さんの「ホメオパシーは魂を救うか―宗教と科学の境界線」 http://informatics.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-da9f.html という記事のコメントでのやり取りからちょっと思ったのだが、 「標準医療が患者に冷淡」というのは、 医師の方がいわゆ…

代替医療系の学会の類

代替医療系の学会団体についてちょっと調べてみた。 東洋医学系の伝統医学だと、 医師系の団体である(社)日本東洋医学会(会員数約8,600)は、 http://www.jsom.or.jp/universally/index.html 学術会議の協力学術研究団体にも登録されているし日本医学会に…

伝統医学としての予防接種

ワクチン(vaccine)という言葉が、 E.ジェンナーが牛痘から種痘を開発したことに因んで 牝牛を表すラテン語"vacca"から造語されたことにも見られるように ジェンナーの種痘は近代医学の予防接種の先駆けと見なされている。 それはそれで間違っているわけで…

子供であっても自己決定の重要さ

ほとんど報道されていないが、 7月7日の参議院厚生労働委員会での参考人である 生命倫理学者の森岡正博・大阪府立大学教授の発言は広く知られるべきものだ。 http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090708/1247014793 そこから個人的に注目した部分を抜き出す。 …

マスク!マスク!マスク!

今回の新型インフルエンザ騒動で、あちこちでマスクが品切れになる一方で、 マスクには予防効果がないというのが世界の常識とか、 マスク着用を揶揄する意見もよく見掛ける。 自分はマスクによってインフルエンザを十分に予防できるとは思わないが、 しかし…

李下に冠を正さず

報道によると、タミフル(一般名オセルタミビル)服用後の異常行動について調査している 厚労省の研究班の主任研究者である横田俊平教授(横浜市立大)の講座が タミフルの販売元の中外製薬(製造元のロシュの傘下)から 奨学寄附金を受け取っていたそうだ。…

医者と学会

Yosyanさんという方の「新小児科医のつぶやき」というBLOGサイトの、2006年10月27日付けのエントリ「なるほど」の中で、以下のような文章を見た。 医者の議論は一般の方々が考えられているより遥かに辛辣で厳しいものです。学会発表という公式の場で、面と向…

君は丸山ワクチンを知っているか?

日本医科大学の丸山千里教授(1901~1992)が開発した 結核菌からの抽出物である丸山ワクチンは 一部の擁護者からは画期的な癌治療薬と喧伝されながら 認可を巡る極めて不明朗な状況の中で政治問題化し 相当にマスコミを賑わしたが、 1981年に有償治験薬とい…

医学と工学は科学か?

「医学は科学ではない」という書籍があるそうだ。 医療と医学の区別が曖昧だそうで、 ちょっとその辺はルーズな議論のようだ。 確かに、臨床的実践としての医療と 学的研究としての医学との区別はあるべきだと思う。 そして学的研究としての医学を見れば 科…