地獄のハイウェイ

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日本学術会議が大学教育の質の保証について審議依頼を受けた

日本学術会議のWEBサイト(http://www.scj.go.jp/ )によると

平成20年6月3日、文部科学省高等教育局から金澤一郎日本学術会議会長に対して、大学教育の分野別質保証の在り方に関する審議依頼がありました。本件は大変重要なテーマであり、日本学術会議において、学術的・総合的観点から、鋭意審議を行ってまいります。

だそうだ。
審議依頼の写しは、http://www.scj.go.jp/080603/reqst.pdfで見ることが出来る。

中教審の「学士課程教育の構築に向けて」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/080410/001.pdf
を受けてのことなので、
落しどころというか答申の方向は、既に決まっているのだろうが、
あえて注文を付けると、

「教養を備えた専門的な人材を多数育成すること、その結果として、イノベーションの推進、生産性の向上を図っていくことが要請されている。」(p.5)

という文言もあるのだから、時代に応じた教養として、
文系のコースにおいても理科系科目(特に基礎的な物理・化学・生物など)を
理工系のコースにおいても人文社会系科目(歴史とか経済とか)を
学ばずには学士過程を修了すべきでないと、答申して欲しい。

例えば、微積分を使わない物理を学んでも物理の教養としては全く不十分なのだから、
文系人間にも高校までではできない微積分を使う物理を教養として身に付けて欲しい。
昨年の「高校の世界史未履修問題」とかで明らかになったように
今のままでは後期中等教育は教養を備えることに十分な体制ではないのだから、
「大学や学生の実情に応じて、補習教育(リメディアル教育)の充実に向け、取り組む。」(p.36)
という文言を生かして補習教育もどしどしやれるように答申してもらえば良いと思う。

そのために必要な人材については、
功成り名を遂げた老齢の研究者達に兼務させてお茶を濁すようなことをせずに、
教養教育専任の教員ポストを増やして、
そこに研究者コースから年齢的に外れてしまったポスドク経験者を採用するとか
是非ともそういうことも学術会議の答申に盛り込んで欲しい。