地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

研究開発の秘密は官公庁の守秘義務基準じゃ守られない

先日、尖閣ビデオ流出事件のことで、
守秘義務違反には当たらないのではと書いたが

尖閣ビデオ流出で新しい情報はあったのか? - 地獄のハイウェイ

法務省あたりの見解だと「守秘義務違反」に当たるそうだ。
その一方でビデオ流出以前にビデオの内容について
情報を外部に出した人間は「守秘義務違反」を問われてはいない。

例えば2010年10月28日産経新聞記事
尖閣ビデオ内容判明 中国漁船、加速して衝突 「故意」裏付け 船長は飲酒か」では
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101028/crm1010280721001-n1.htm
海上保安庁が撮影したビデオには、中国漁船(166トン)が航行速度を12~13ノット(時速約22~24キロ)ぐらいに上げて海保の巡視船に衝突した様子が映っていることが27日、分かった。ビデオ映像を見た複数の関係者が明らかにした。漁船が衝突時に速度を上げたことなどから、関係者は「衝突を避ける気はなく、故意にぶつけるつもりだったことは明白だ」と指摘している。」
とか書いているので、ビデオを見た関係者がその内容を伝えている。
これには素人がビデオを見てもすぐには分からない中国漁船の速度情報もある。
しかし、この関係者は法務省あたりの基準では「守秘義務違反」ではないらしい。

うーん、これでは研究開発関係で資料を官公庁に渡すと、
資料そのものの流出は禁止してくれるのかもしれないが、
資料を見た複数の関係者が内容をマスコミに明らかにしたりしても
守秘義務違反」ではないということになるのだろう。
ちょっと考えれば、
先取権争いの激しい分野でも官公庁に研究計画書を出すと
計画書さえ流出しなければ、
その内容が漏れてしまっても「守秘義務違反」ではないということで
被害を受けても泣き寝入りになるという恐ろしさだ。
官公庁の監督下の先端研究施設に実験提案書を出すのは危険だということか?
捜査機関と研究機関では守秘義務の中身が違うことを期待したい。