地獄のハイウェイ

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コンサルティングでは技術士はプロ、博士は?

理工系の博士を市民が個別の問題について相談するための、
医師や弁護士に相当する科学コミュニケーションの専門家とみなすことに
賛成できないのは先日書いたが、

医師や弁護士に相当するのは博士ではなく技術士だろう - 地獄のハイウェイ

そこで書き漏らしていたが重要だと思うことがある。

それは博士であるということは、
パーソナルな科学コミュニケーションというか
科学技術に関する相談事を依頼した際に、
プロフェッショナルであることを保証していないことである。

プロフェッショナルな専門職業人であれば
その依頼を受けたら確実に責務を遂行しなければならない。
また守秘義務が代表的だが医師にしても弁護士にしても、
専門職業人としての義務や責任を負っている。

そんなプロフェッショナルな責任を負っていれば
「色々言われて嫌気がさしてきたのでもうやめます」とか
「一般の人とコミュニケーションに慣れていませんから」とか
そういうある種無責任な物言いはできないだろう。
ところが現実を見ると科学コミュニティからは、
そういう声が聞こえてくる始末。
科学者というか研究者としてだけトレーニングを受けた博士に、
市民の相談に対するプロフェッショナルとしては、
あまり期待しない方が良いだろう。

一方、
技術士の英語表記は、Professional Engineerである。
つまり名称上からもプロフェッショナルなのである。
実際、技術士法にも秘密保持はもちろんのこと、
信用失墜行為の禁止とか、あるいは公益確保の責務とか、
そういう項目があって、
専門職業人としての義務が規定されている。
信用失墜行為の禁止の条項から言えば、
科学者が良く仕出かすような
専門外の分野で半可通な知識で恥を晒すなんていうことも、
技術士はしてはいけないことになる。

市民が個別の問題について相談するための専門家には、
プロフェッショナルな技術士が相応しいのではないだろうか。