地獄のハイウェイ

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どの程度の減額が受容できるのか?

行政刷新会議事業仕分けで色々な論点があると思うが、
減額のスケールに関する点は
パッと見渡した範囲でほとんど議論されていないように思われる。
とにかく「基礎科学予算を削ると科学や産業が滅びてしまう」式の反対論が中心で、
減額の程度が妥当かどうかについての議論はあまり見掛けないようだ。

一般のマスコミやネット上だと
スパコンの「予算計上の見送りに限りなく近い縮減」に話題が集中している感があるが、
これについてはどの程度の減額までだったらOKなのだろうか?

行政刷新会議の資料を見ていると
今年度当初予算が約190億円で来年度概算要求が約268億円、
今年度並みの190億円でも要求に対しては金額にして77億円、比率にして30%近い削減になる。
スパコンに関してはメーカーサイドが今年の5月にNECと日立が撤退を決めて
富士通しか残っていないなど問題も多いので
(ベクトル型の部分はNECと日立が担当するはずだったのでスカラー型オンリーに変更)
研究計画のきちんとした見直しが必要な気がするし
それにまだ完成していない装置なので予算減額によって計画が1年遅れただけで
日本の科学や産業に壊滅的な打撃があるとも思えないので
(この辺は結果として世界1位になれなかった時の値打ちの議論でもある)
例えば予算を100億円に減額した場合(対21年度比48%減、概算要求比62%減)でも
構わないのではと思ったりもする。
SPring-8(今年度当初予算が約87億円で来年度概算要求が約86億円)や
理研植物研究とバイオリソース(今年度当初予算も来年度概算要求も約45億円)の方で
1/2とか1/3減額と言われている方がはるかに深刻な影響が出るだろう。

因みに学振特別研究員を含む若手競争資金(事業番号3-21(1)~(3))の場合は、
今年度当初予算が約592億円で来年度概算要求が約626億円だから、
予算を今年度並みにすると要求に対しては5%強の削減。
この程度なら「予算要求の縮減」も受け容れ可能かもしれない。