地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

加工室にて太平洋戦争を思う

先日ある機械の部品に加工をしなければならなくなって
職場の工作室でフライス盤による加工をした。
大した加工ではないのだが素人の悲しさで
長い時間をかけても出来たのは何とか使える程度の代物。
熟練工ならあっという間に精確に仕上げてしまうのだろうけど
業務の関係で時々素人加工をやる自分にはきつかった。
作業の後で、ふっと
太平洋戦争中に学徒動員でゼロ戦など飛行機の部品を造った中学生達(当時)も
自分と似たような水準だったのではなかろうかと思った。
動員された学生達(自分の父親の世代だ)は一生懸命だったとは思うが
加工機械の自動化が進んでいない分、余計に大変だったと思う。
学徒動員による未熟練工が戦闘機の部品を作っていたのでは
加工精度の問題もあって故障や不具合が多発していたのではないかと思う。
それに生産に掛かる時間と資材の双方の面で
生産性も随分と低下したに違いない。
我が国では熟練工の技量もお構いなしに徴兵されていったので
学徒動員による生産に頼らざるを得なかったのだろうが
元々米国との工業生産力に大きな開きがあって
一か八かの短期決戦に踏み切ったのだとすれば
熟練工の徴兵と学徒動員による生産は
更に勝ち目を薄くすることになったのではないかと
しみじみ思った。