地獄のハイウェイ

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team_nakagawaは信用できるのか?

リスト自体の趣旨や正確さについてはかなり疑問なところもあるが、
原発業界御用学者リスト@ウィキ(http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/
というのがあって、
そこのリストに東大病院放射線治療チーム (team_nakagawa,http://tnakagawa.exblog.jp/) が
挙げられている。
リストを作った人達が御用学者だといっているのは、
水道水中のヨウ素の除去について
間違った情報を発信した(これについてはすぐに訂正はした)からのようだ。

東大病院放射線治療チームは、
これまで信用できる情報源と紹介されてきたので、何故?と思ったが、
リスト以外にあんまり信用ならないかもしれないという指摘も見つけた。
chemist_at_univさんの「ケミストの日常」の
「team_nakagawaヨウ素131解説の二面性」
http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/baba1aa1ebb6b1eb796142672b09bf38
という記事だ。
それをみるとteam_nakagawaは、
乳児が210Bq/Lの水道水を毎日摂取しても1年で10mSvにしかならないと書いているが、
そこに間違いあるいはごまかしがあるということのようだ。
(team_nakagawaの記事はhttp://tnakagawa.exblog.jp/15135758/

chemist_at_univさんとは違うやり方で検証してみよう。
単純計算で210Bq/Lに乳児の甲状腺等価係数0.0037mSv/Bqを掛けると
0.777mSv/Lになるから1日あたり1Lの摂取で0.777mSvの内部被曝になる。
さらに単純計算で365倍すると283.6mSv(甲状腺等価線量)だから、
team_nakagawaの話と全然合わない。

chemist_at_univさんの他の記事も参考にすると
http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/19ec2b0757777656a339ba710d4308d9
team_nakagawaのは一度放出された放射能が減少していく想定らしい
(つまり放射能濃度が崩壊でだんだん下がっていく場合)
ヨウ素131の半減期は8日、濃度は元の濃度に対して(0.5)^(day/8)になるから
8日で半分になり16日で4分の1になる。
ざっと積算すると1年間で9.36mSvになり、
なるほどteam_nakagawaの話とほぼ近い計算になる。
それならteam_nakagawaの元々の説明である
「もし210Bq/Lが長期間続くと仮定」とは矛盾する。

残念ながら、team_nakagawaはあまり信用できないと考えるべきだろう。

☆2011年4月4日追記
team_nakagawaの記事における
「約1年で、やっと10ミリシーベルトに達する計算になります」
という記述と整合的なのは、
team_nakagawaの記事では甲状腺等価線量ではなく、
組織荷重係数0.05を掛けた値(実効線量)を指しているという解釈だと思います。
(乳児だと1年で14.18mSv、10mSvに達するのは257.4日)、
chemist_at_univさんの元記事の追記やコメントに感謝します。
だとすると計算違いとか混乱によるものではなく
安全性を強調するための意図的なものを疑わざるを得ません。

※本記事は専門的な検証を受けていませんのでご注意下さい!