化学
1.はじめに 色々なところでダメ科学を見掛けるときに思うことなのだが、そのダメさ加減のかなりの部分がデータの取り扱いにあることは物理や化学といった実験系の精密科学のセンスがあればわかりそうなものだと思う。そういう実験系精密科学のセンスはちょ…
先日、ドロシー・ホジキン(1910-1994)のことを書いたが、女性結晶学者としてはロザリンド・フランクリン(1920-1958)の方が一般的な知名度はあるかもしれない。ただワトソンがDNAの構造解析について書いた回想録『二重らせん』(原書1968年)でフランク…
今日のグーグルのロゴは、ドロシー・ホジキン生誕104周年ということでペニシリンの分子モデルが使われていた。 ドロシー・ホジキン(1910~1994)は一般的な知名度は必ずしも高くないが、ペニシリン、ビタミンB12、インシュリンといった分子の立体構造をX線…
Scienceの選んだ2011年の科学研究における10大発見に、 光合成の謎に迫った神谷信夫さんたちの研究が選ばれたという報道があった。 Scienceの"Breakthrough of the Year, 2011"のページは http://www.sciencemag.org/site/special/btoy2011/ 以下の大阪市大…
今年のノーベル化学賞がシェヒトマンの準結晶の発見に対してであったが、それに関連して分子生物学者の柳田充弘が間違ったことを書いているのを見つけた。柳田のブログの10月6日付けの「ノーベル化学賞について」という記事である。http://mitsuhiro.exblog.…
今年のノーベル化学賞は準結晶の発見者ダニエル・シェヒトマン! (構造解析でない)結晶学で次にノーベル賞があるとしたら準結晶と言われていたが遂に来た! 準結晶については次の解説が分かりやすい。 http://sato.issp.u-tokyo.ac.jp/topics-j.html#quasi…
自分は理学部化学系学科の出身なので、 化学がどういうものかについては無知ではないつもりだ。 それで前々から気になっている疑問の一つが、 科学コミュニケーション業界などで見られる 「日本では科学と技術が区別されていない」 「科学(サイエンス)は何…
報道によると2006年度のノーベル化学賞が ロジャー・コーンバーグに決まったそうだ。 「真核生物の転写の分子的基礎に関する研究」で受賞だそうだ。 これって明らかに生物分野の研究テーマではないだろうか。 そう言えばここ数年、 ノーベル化学賞は生物分野…
今日、Googleで"ポーリング 共鳴理論"で検索したところ、 このblogが先頭に来ていたので、ちょっとびっくりした。 ちょっぴり責任も感じるので、知っている人には今更であるが自分なりに説明を試みよう。 一言で要約すれば共鳴理論は化学結合に関する原子価…
L.ポーリングは1962年のノーベル平和賞を受賞したけれど、 同じ年度の生理学・医学賞はDNA構造の解明でポーリングのライバルだった ワトソン&クリックとM.ウィルキンスが受賞。 また化学賞はタンパク質のX線構造解析で M.ペルーツとJ.C.ケン…
ライナス・ポーリング(Linus Carl Pauling,1901~1994)といえば、1954年に化学結合論でノーベル化学賞を受賞し、それ以外にもタンパク質のα-へリックスの発見やワトソン&クリックとのDNA構造の解明競争など構造化学者としても大きな足跡を残し分子進…