言うまでもないが、ポスドク経験者の進路と言うのは、
分野によって事情がかなり異なるので
ポスドク問題を考えるときには注意が必要なのだが、
あえて乱暴に考えてみることにする。
大型の研究プロジェクトであるとポスドクの募集以外に
任期付きのテクニシャンとか研究補助員の募集も結構あったりする。
これも当然のこと分野毎あるいはプロジェクト毎で様子が異なるが、
概ね修士修了程度で年齢も30歳以下というのが相場のようだ。
年齢制限のことはさて置き、
ポスドク経験者がテクニシャンになることに対して
どう思うのかをちょっと想像してみた。
もちろんテクニシャンも仕事内容や所属先によって事情は異なるが
学術論文を書くことを要求されることはまずないだろう。
場合にもよるが論文を書くことも望まれていないだろう。
禁止されていなくても仕事とは見なされないことが多いだろう。
共著者に加えてもらうこと(ギフト・オーサーシップも含む)もあるが、
多くの場合はacknowledgmentのところで名前が出ておしまい。
研究者と実験デザインやデータ解析に関して
ディスカッションをすることはあるが、
研究計画を書くことは仕事ではないし期待もされていない。
まして研究予算を獲得することは特別なケースを別にすればほとんどない。
だからアカデミック・キャリアとしては
テクニシャンになるとちょっとレールを外れた状態と言えるかもしれない。
ネガティブに評価しすぎると言う声もあるかもしれないが
一方で専門的な知識と技量を生かせる仕事でもある。
さて昔の技官のようなパーマネント・ポジションならともかく
ポスドクがテクニシャンを進路の選択肢として選ぶだろうか?
食うに困れば別だが望んでテクニシャンになろうと言う人は
少ないのではないだろうか?
それを甘えと批判する人もいるかもしれないが
テクニシャンにはなりたくないポスドクは正常だと、自分は思う。