地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

予算確保のために大風呂敷を広げる人達

最近「老化とか寿命は研究費的に難しくて人気がない」とか書いて
自分の研究テーマの斬新さを宣伝しているブログを見かけた。
何でも老化研究のモデルに分裂酵母を使うのだとかだそうだ。
自分自身は老化研究に係わっている訳ではないが、
製薬会社とかが老化研究に関して強い関心を持っているのは良く知っていたので
はて?と思って少し調べてみた。

老化関連ではちょっと前に話題になったレスベラトロールを覚えておられる人も多いだろう。
(解説は http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/doc2/doc2-01-2-1.html )
出芽酵母の寿命を延ばし線虫やショウジョウバエにも効果があったとされ
製薬業界やサプリメント業界の注目を集めた。
(その顛末の一例:http://www.worldfinewines.com/news10/101204glaxodrops.html

ここで気がつく人は気がつくのだが、
出芽酵母や線虫(C.elegans)、ショウジョウバエといったものが
老化研究のモデル生物として確立しているのだ。
もちろん新しいモデル生物が加わるのは価値のあることだが
理研でも老化に関わる遺伝子の探求の素材に分裂酵母が選ばれていて
http://www.riken.jp/r-world/info/release/news/2012/feb/spo_01.html
酵母の種類とかは同じではないのかもしれないが)
それほど凄くオリジナリティのあるようにも思われない。
また老化に関するメタボロミクス(網羅的代謝産物研究)も
線虫などではある程度行われているようでそんなに画期的でもないようだ。
http://www.iab.keio.ac.jp/data/interview/kochiwa-layout/kochiwa.html

それでも「御大」とか呼ばれるような権威が
自分のテーマは画期的だとかの大風呂敷を広げれば
物事を自分で調べない人々を欺くことは可能だろうが、
大概にしてもらいたいものだと思う。