地獄のハイウェイ

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リバウンドと呼ぶのは不適切

 新型コロナ感染症の新規感染者数が増加傾向にある。マスコミ的には「緊急事態宣言の解除によるリバウンド」と呼びたいらしいが、全く以て不適切。まず東京都が増加傾向に転じたのは、末期とはいえ緊急事態宣言期間中である。あるイベント(緊急事態宣言解除)が発生するよりも前から生じている現象の原因を、その現象の発生以後に生じたイベントに求めるのは、科学的に見て間違いである。また、数日前から急激な感染者数の増加を見せている宮城県山形県は、緊急事態宣言の対象地域ではない。宮城や山形のような緊急事態宣言と直接の関係ない地域で、感染者の増加が起きているのならば、その原因は緊急事態宣言の解除ではあり得ない。

 コロナ感染者の統計についてはいくつかサイトがあるが、自分は世界の状況については、Worldometerのサイトを見ている。

www.worldometers.info

一旦、新規感染者数が少し減っていたインドなどでもここのところ1日あたり6万人とか最盛期並みの数値になってきているし、西欧でもフランスなどが流行が再燃している。インドについては詳しいことは自分は調べていないのでわからないが、西欧での新規感染者数の増加の原因は、感染力の強い変異株の流行によるものだと言われているようだ。変異株はいくつかの種類があるようだが、従来型と比べて1.25~1.4倍感染力が強い英国型が日本でも神戸あたりで新規感染者の半数以上を占めているという報告が、3月初旬には出ているわけだから、変異株が流行の中心になってきたから、新規感染者が増加していると考えるべきである。

 この冬の緊急事態宣言のような飲食の時短要請と国民の自粛に頼ったやり方では、実効再生産数を0.8未満にすることができていなかったのだから、感染力の強い英国型変異株が流行の主流を占めるようになった今、従来のやり方では新型コロナの抑え込みは不可能だと考えるべきである。それなのに「リバウンド」などという不適切な呼び方で、事態を隠蔽しているマスコミの罪は重大である。