地獄のハイウェイ

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医学と工学は科学か?

「医学は科学ではない」という書籍があるそうだ。
医療と医学の区別が曖昧だそうで、
ちょっとその辺はルーズな議論のようだ。
確かに、臨床的実践としての医療と
学的研究としての医学との区別はあるべきだと思う。
そして学的研究としての医学を見れば
科学的探求と共通する要素があるのは本当だろうと思う。
医療には「治療」という目的に従わねばならないので
アリストテレスの分類で言えば
医療は学問(エピステーメー)ではなくて技術(テクネー)になるのだろう。
そういう風に考えると医療と医学の関係は
一般的な技術(テクノロジー)と
学的研究としての工学(応用科学)の関係に似ているように思う。
工学には再現性の欠如という批判は当たらないけれど
技術的な課題への解決という目的に制約されるので
価値中立的とは言いがたいところがある。
工学こそが科学の「ど真ん中」だという人はめったにいないし
工学は科学ではないという「科学純潔主義」的言説も見ることがあるけれど
自分としては工学と医学が科学でなかったとしても
純粋な科学よりも価値の低いものだとは決して思わない。

トラックバック先の記事

本記事は「三余亭」さんの2006年02月9日付エントリ
「【医学は科学ではない 米山公啓著 ちくま新書】に意見する」
http://cuttlefish.at.webry.info/200602/article_3.html
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☆2006.11.08リンク先アドレス修正