地獄のハイウェイ

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どんな分野にポスドクは多いのか

ポスドク問題を考えるときには、
分野によって状況が異なるので注意が必要だ。
それでどんな分野にポスドクが多いのか調べてみた。

文部科学省 科学技術政策研究所の
「大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況調査-平成17年度調査」
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat128j/pdf/mat128j.pdf
を見ると総勢14,854人のポスドクの分野別の割合は(p.34)
ライフサイエンス系が40.7%と群を抜いて多い(2位はナノ・材料系の14.1%)

「大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況調査-平成18年度調査」
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat137j/pdf/mat137j1.pdf
では分野を理学とか工学とかにしているのではっきりしないが、
総勢15,496人のポスドクの分野別割合は(p.9)
理学系31.3%、工学系29.7%、保健系15.1%、農学系10.4%となっている。
工学系29.7%については前年の分類で対応しそうな
情報通信7.1%とナノ・材料14.1%とエネルギー3.5%、製造技術1.7%を
足し合わせると26.4%になるので大きな変動はないと考えて良かろう。
保健系(医学と薬学)と農学系を併せると25.5%にしかならないが、
前年のライフサイエンス系の残りは理学系ということなのだろうか?

バイオというかライフサイエンスに関しては、
ゲノムプロジェクトが終了するより以前から
国際的競争力が乏しいとされていたこともあって、
その後に政策的に研究資源を投下した結果として
この分野のポスドクの人数が多いのだろう。
しかし伝統的な製薬工業を別としてバイオ産業は
アメリカですら失敗とも言われているのだから
(G.P.ピサノ「サイエンス・ビジネスの挑戦」 http://www.amazon.co.jp/dp/4822246310
国策で増員されたバイオ系ポスドクを産業界で雇用しろといわれても
産業界としても困ってしまうというのが本当のところではないだろうか。