先日もとりあげた(身上調査はされていたの? - 地獄のハイウェイ)
早稲田大学・松本和子教授による研究費不正疑惑だが、
問題は不正経理から更に論文のデータ捏造疑惑にまで発展してきたようだ。
それにしても繰り返しになるが、どうしてそういう教授が
「研究活動の不正行為に関する特別委員会」の委員になっていたのだろう?
松本教授を誰が委員に推薦したのか?
推薦された候補の中からどのような基準で委員が選ばれたのか?
文科省はこれらの過程の詳細について国民に説明する責任があるのではないか。
それらのことを棚に上げて
文科省が早稲田大学の監督責任を問うのはお門違いだと思う。
さて、報道によれば、
文科省の対策チームが大学への立ち入り調査を定期的に実施していく方針を決めたとか
監視・監査を強化する方向の話しばかり出てきている。
もちろん不正を防ぐには監視や罰則の強化も重要だろうが
不正をしなくてもいいように規則を作り直すのことも重要ではないだろうか。
今回の事件(研究費の不正使用の方)の背景には
科研費や振興調整費といった補助金の規則通りであると研究遂行上支障があるので
規則から逸脱した運用が日常化しているというのがある。
国の予算の成立が遅れなくても予算執行開始が夏頃の一方で出納閉鎖が3月初旬なんて
どう考えても研究費のプールをする動機を与えるような制度的欠陥でしかない。
また不正には違いないが同情の余地のある
学生の学会参加費とか旅費を架空バイト代から捻出といった不正使用を防ぐには
監視をきつくするよりもそれらの費用を公に支出を認めた方が
ずっと有効な方策のはずだ。
報道では松本教授も議員をしていた総合科学技術会議が
研究費の適正な使用を徹底する方策の検討を
関係省庁に対して求めることになったということだが、
実態に合わせた合理的なルール作りこそ求められているもののように思う。
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本記事は
chem@uのさんのブログサイト「ケミストの日常」
2006年06月30日付エントリ「研究費の使いにくさ」
http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/ce2e00bd4ab3d8ab089de60e5401e4a3
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