地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

研究不正/研究倫理

リー・マッキンタイア『「科学的に正しい」とは何か』

リー・マッキンタイア『「科学的に正しい」とは何か』(ニュートン新書)を読んだ。 www.newtonpress.co.jp 原題は”The Scientific Attitude”。常温核融合のような病的科学のケースや逸脱としての研究不正や地球温暖化否定論のような否定主義、疑似科学など…

秋篠宮悠仁親王殿下の論文って研究ミスコンダクトではないのか?

秋篠宮悠仁親王殿下が筆頭著者になった論文が発表されたというニュースがあって、ちょっとびっくりしてしまった。悠仁親王殿下はまだ高校生でいらっしゃるので、学術論文で筆頭著者になるような研究実態があるのだろうかというのは当然の疑問である。 それで…

幹細胞研究者って科学的な真理の探究者なの?

小保方の手記の出版以来このところSTAP騒動が再燃しているようだし、更には小保方がSTAP事件以前に出していた論文が取り下げになったとか色々と新たな話題も出てきているようだ。 前にも少し書いたが自分はバカンティの胞子様細胞(芽胞様細胞)というのは限…

STAP事件でちょっと気になること

先日STAP事件でバカンティのことを書いたので 古い記事などを見直していたのだが、 そこでちょっと気になったことがある。 それはSTAP事件で研究不正疑惑騒動の分水嶺となった 博士学位論文画像の流用に関する件である。 NatureのArticleの方のFig.2e下段が…

そもそもバカンティってどうなのよ?

小保方晴子が『あの日』という手記を出版したそうだ。 ネットで紹介されている内容を見る限り自己弁護に終始したもののようだ。 http://bylines.news.yahoo.co.jp/enokieisuke/20160128-00053873/ http://delete-all.hatenablog.com/entry/2016/01/28/233622…

科学者への不信について、原発事故とSTAP事件

小野昌弘という人の 「放射能恐怖という民主政治の毒(11):煽られる不信・くすぶるデマ」 http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20150222-00042905/ という記事を読んで少し違和感を覚えた。 福島の原発事故でいわゆる御用学者というか原子力専門…

STAP騒動1周年に思ったこと

1年前の理研の記者発表から1周年になるので、少し気になっていることを書いておこうと思う。STAP細胞に関する2本のNature誌の論文には研究不正があり、研究成果と称するものは実は虚構だったということなのだが、これを小保方晴子という特異な人物の仕業と片…

ガキの使いやあらへんで!

昨日、理研が発表したSTAP事件の調査報告を見ると http://www3.riken.jp/stap/j/c13document5.pdf 「オリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった。」 という記述が何か所か見られる。(p.22-23あたり) オリジナルデータがないために提出されなかっ…

野依さん、まだ疑惑は残っとるがよぉ!

STAP事件で理研が検証実験とかいう茶番劇を終了したと発表。 http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20141219_1/ 保管されていたSTAP細胞なるものが由来の判然としない代物だという発表が出た時点で、 http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/topics/2014/20140…

遠のく真相解明

STAP事件では研究不正に関する当事者である 笹井芳樹CDB副センター長の自殺は痛ましいと思う。 自殺の動機については色々と言われているが 科学という営みは名声獲得を競うゲームではなく 真理の探究であるべきなのだから 真実を告白しても罪を逃れられない…

理研は学術会議の声明に真剣に対応しろ!

今日、理研がSTAP事件について、 「STAP細胞事案に関する理化学研究所の対応について」 http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140804_1/ というのを発表した。 形の上では学術会議が7月25日に出した幹事会声明 「STAP 細胞事案に関する理化学研究所への要望…

高橋政代って笹井芳樹とは議論しないのか?

先日、iPS細胞を使った臨床試験を進めている理研CDBの高橋政代が ツィッターで「中止」を匂わすような投稿をしてちょっとした騒ぎになった。 この騒ぎについて毎日新聞が高橋との「一問一答」なるインタビューを掲載していたので それを見ていたのだが強烈な…

iPS臨床試験の広報に見る不誠実さ

STAP事件の余波を受けて理研CDBの解体云々が取り沙汰されているので CDBが実施予定のiPS細胞を使った臨床試験についてちょっと調べてみた。 概要は理研広報のページや臨床試験の特設ページなどにあるが それらを見ていてちょっと疑問を持った。 http://www.r…

楽園変ジテ無法地帯ト化ス

昨日公表された理研の研究不正再発防止のための改革委員会の 「研究不正再発防止のための提言書」 http://www3.riken.jp/stap/j/d7document15.pdf を見ていると理研のガバナンスの欠如が厳しく指摘されている。 小保方のユニットリーダーへの応募書類が提出…

真相解明はこれからだが期待しない方が良いのかも

報道によると小保方晴子がNatureのArticleの取り下げに同意したとかで STAP事件は一つの節目を迎えたようだ。 前にもちょっと書いたが犯罪組織が切り札のつもりで雇ったプロ(?)が プロとは名ばかりのとんでもなく出来の悪い成り済ましで その不始末から足…

『背信の科学者たち』再刊

STAP事件で研究不正について注目が集まったこともあって W.ブロード&N.ウェイド『背信の科学者たち』が再刊されるようだ http://www.hanmoto.com/jpokinkan/bd/9784062190954.html http://www.amazon.co.jp/dp/4062190958/ この本については以前にブルーバ…

The Article only?

報道されているようにSTAP事件の論文不正問題について 理研は小保方晴子の不服申し立てに対して再調査をしないと決定した。 その報告書(http://www3.riken.jp/stap/j/t10document12.pdf)を見ると 故意の有無の問題や弁明の機会の有無などについて 明快な表現…

生命科学系で研究不正が多いのには訳がある

分子生物学会理事長の大隅典子が自身のブログで 「科学者は競争的すぎる環境に付いていけない」という記事を書いている。 http://nosumi.exblog.jp/20620797/ 研究不正の問題の背景には競争環境の激化があり 生命科学系で研究不正が顕著に多いのは ポスドク…

小保方晴子が信用できない一つの事項

昨日は笹井芳樹が釈明会見とやらをしたらしいが、 特に目新しい証拠などはなかったらしい。 世間の同情を集めるためには 筋道だった論理よりも感情に訴える方が良いというのは 大衆扇動の基本中の基本なのだが、 小保方とは違って笹井はそれよりは責任回避を…

未熟だという自覚があるなら職を辞し学位を返上して修士からやり直せ

自分は映像などは見ていないのだが、 数日前にSTAP事件の小保方晴子が記者会見した際に、 「未熟だった」とか言い訳していると報道されているのを見て 無性に腹が立ってしょうがない。 ユニットリーダーという地位に就いている プロフェッショナルな研究者の…

研究不正は世間から糾弾されて当然

STAP事件についての理研の調査報告は喩えて言うと、 表向きは立派な組織が裏で密入国犯罪をやっている中で、 パスポートの偽造屋が下手くそなために偽造がばれてしまって、 組織の方が「パスポートの偽造は単独犯です」とか主張しているみたいだ、 というの…

政務官の方が理研理事長よりも専門知識があるかも

STAP事件についての3月14日の理研の記者会見に先立って、 3月13日に文部科学省では、 研究不正、研究費の不正使用に関するガイドラインについて説明会をやっていやようだ。 http://www.mext.go.jp/a_menu/kansa/houkoku/1344248.htm それでネットを色々と見…

研究不正について思ったこと

今回STAP事件では派手な宣伝活動が話題を集めたこともあって 多くの人々を驚かし改めて注目を集めている研究不正だが 研究不正の問題は今に始まったことではない。 この手の話題をまとまって取り上げた初期の著作として知られているものに W.ブロード&N.ウ…

拭えぬ不信感

今日は理研のSTAP事件に関する中間報告で 長い長い記者会見が行なわれたそうだ。 さすがに現時点でクロ断定は出来ないだろうし、 理研サイドはとりあえず組織防衛に出るだろうと思っていたから それほど期待していなかったので 長時間になったと聞いたときに…

「口を出さずに金だけくれ」は通用しない

今回のSTAP事件に関連して 菅官房長官や理研に対して文部科学省を通じて説明を要求したり、 下村文部科学大臣が論文の撤回を期待した発言したことに対して 「研究現場への政治介入の危機」とみなす意見がある。 (例えば http://d.hatena.ne.jp/scicom/20140…

研究不正事件渦中のサイエンス・コミュニケーション

今回のSTAP細胞事件でネット上の反応を眺めていると 専門的な知識のある発生生物学や再生医療分野の専門家の反応が乏しく、 専門外の分野の研究者などの反応が手厳しく、 そして一般的な市民の反応が薄いという いわばドーナッツ状の分布になっているように…

大本営発表「理研ハ、プロトコルニ転進セリ」

STAP細胞スキャンダルで、 昨日、理研が詳細な作製手順と称するものを発表した。 http://www.cdb.riken.jp/jp/04_news/articles/pdf/14/protocol_exchange_v1.pdf 著者は小保方晴子、笹井芳樹(副センター長)、丹羽仁史(今回のコレスポ)。 「簡単にできる…

STAP細胞事件での理研の対応を非難する

今回のSTAP細胞スキャンダルについて、 理研は沈黙を守っているようだが、 この対応は全く以って非難に値するものだ。 問題は沢山あるが直ちに謝罪すべき問題は、 最初のプレスリリースの時点での誇大広告である。 記者会見と比べればプレスリリースの方はま…

余ハ如何ニシテSTAP懐疑派トナリシ乎

STAP細胞スキャンダルの件についてだが、 自分は当初、理研のプレスリリースを真に受けて 「世紀の大発見!」などと興奮していたが画像加工の噂が出てからミスコンダクトを確信してからも それでも「画期的な研究内容」だと思っていたが、 今では全く信用して…

もっと科学を!

STAP細胞事件が切っ掛けで 素人ながら幹細胞研究とかリプログラミングについて ちょっと調べてみたのだが 多能性獲得とか未分化状態維持のメカニズムとかは まだまだ詳しくわかっていないところが多いようだ。 ところが再生医療とかそっち方面の応用の期待か…