地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

アマチュアに門は開かれているか

先日、学振の哲学系のポスドクの人と話をした際に
大意「ポストの獲得は大変じゃないですか」と言ったら
明るい表情でキッパリと
「なきゃないでバイトしてでも研究は続けますから!」と言われて
ちょっとびっくりすると共に若さを眩しく思った。

哲学系は実験装置がいらないし
個人で細々とでも研究を続けられる分野なので
実験科学系のポスドクの人達とは同列視できないが
アカデミアのポストを諦めても
個人で細々とでも研究が続けられると良いなぁと思った。

先端的な実験科学分野のポスドク
装置を持たない個人になっても
研究を続けるのは容易なことではない。
また何らかの身分(せめて研究生とか)を持っていないと、
アカデミアの資源にアクセスすることは非常に困難になる。
関連業界に就職して企業内の研究者として生活していればともかく
畑違いの分野に就職したりしたら
大好きだったはずの分野から、
きれいさっぱり身を引くことになってしまいがちではないだろうか。
そういう脱落者であっても就業時間外や休日にだけでも
研究成果の受信者ではなく発信者の仲間として関与したい、
そんな気持ちになるのは当然だ。
科研費の申請ができない身分では、
アカデミックキャリアは望むべくもないが
マチュアとしてでも研究には関わり続けていたいだろう。
そういう希望に応えるための制度はあるだろうか?
研究室への出入りを許されているケースは別として
それが済んで一旦離れてしまうとどうだろう?
大学や研究室によって異なるので一概には言えないが
実験科学系ではその間口はとても狭いように思う。

そんなことを考えていたら
山形の板垣さんというアマチュア天文家の発見を元にした論文が
Natureに出ているという記事を読売新聞で見た。
その論文と言うのは
A. Pastorello1 et al.
Nature 447, 829-832
"A giant outburst two years before the core-collapse of a massive star"
http://www.nature.com/nature/journal/v447/n7146/full/nature05825.html
天文学は例外的にアマチュアが活躍している分野であるけど、
実験系科学の研究者も学位持ちのアマチュア
積極的に共同研究者として受け入れていって欲しいと思う。