地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

何のための科学リテラシーか

ニセ科学批判とか疑似科学批判とかそういう話では、
「科学ではないのに科学であるように見せかけているニセモノ」を見破るために、
市民に科学リテラシーというものが必要だとされている。

科学コミュニケーションとかサイエンス・カフェとかそういう業界では、
先端的な科学の話題についての理解してもらったり共感してもらうために、
大衆に科学リテラシーの普及が期待されている。

科学技術立国論とか新産業創生とかそういった方面では、
経済的繁栄のための優秀な人材を輩出するために、
国民の科学リテラシーの向上が重要だとされている。

科学リテラシーについての上に挙げた様な考え方を否定するつもりは全くないが、
それに尽きるものでもないと自分は考えている。
逆説的に聞こえるかも知れないが、
何よりも「科学から自由である」ためにこそ、
科学リテラシーは身に付けられるべきだと思う。
訳も分からぬままに盲従させられないためにも、
科学の名の下に行われる暴虐から身を守るためにも、
崇めるでもなく恐れるでもなく正面から向き合うことで
科学が何をしてきたのか、そして何ができ何ができないかについて知ることが重要ではないか。
科学リテラシーとは人間の尊厳のためにこそ必要なものだと思う。