地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

足利事件DNA鑑定についてあまり語られていないこと

一週間前に足利事件のDNA鑑定について書いてから、
ちょっとネットで調べていたら気になったことがあった。

DNA鑑定の泳動パターンがあまりにも酷いことは一週間前に書いた通りだが、
katsuya-440.hatenablog.com
「菅家さんを支える会・栃木」のWEBサイトにある
「フライデーの記事より(2000年3月24日号)」を見ると
http://www.watv.ne.jp/~askgjkn/fri.htm

唯一の物証であるDNA鑑定も確固たるものではなかった。M・Mちゃんの下着に付いていた精液と、菅家被告のDNAの型が一致したというが、下着はひと晩川の流れにさらされており、鑑定には不適格な資料だった。捜査幹部が告白する。「科警研警察庁科学警察研究所)が再三拒否したのを、無理にやらせたんだ。」 その背景には、警察庁上層部の政治的意図があった。DNA鑑定の全国配備にむけ、予算を獲得するためには”実績”が必要だったのだ。

という記述を見つけた。
この記述をどこまで信用していいかわからないが、
どうも後ろ暗い力が働いたことは9年前には一部では知られていたようなのだ。

DNA鑑定の泳動パターンを見る限り、
普通の人には見えないものを心眼(?)で見て
限りなく白に近い灰色を黒と鑑定したといわれても仕方あるまい。
だから当時の鑑定技術が未熟だったからでないのはもちろんのこと
科警研の技官の技量が未熟だったからだったのでもない。
あえて言えば結論が先にあったからだとしか言いようがない。
それなのに足利事件の直接の鑑定人でない科学者達から
「当時の技術が未熟だった」とか「科警研の技量が低かった」とか
そういう評価が出てくるのは何故だ?
例えば2009/06/05付けのIZAの記事(元記事は産経?)
「「科警研の技術、拙劣の一語」足利事件で識者」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/262581/
で石山昱夫・帝京大名誉教授が

拙劣極まる分析結果と技術力だった。分析の失敗を繰り返していたのだ。足利事件の分析もそのレベルのものであったに違いない。

というように「科警研の技量が低かった」説を述べているが
これは結局のところ問題の核心の隠蔽ではないか。
鑑定技術が精密化しようが科警研の技量が向上しようが
後ろ暗い力に心を折られた鑑定人が白を黒と鑑定すれば同じことだ。

限りなく白に近い灰色を黒と鑑定したことを批判しなければ
結局のところ後ろ暗い力を隠蔽することに加担しているだけだろう。
DNA鑑定の問題が指摘されている飯塚事件
裁判所が犯人と被告のDNAが一致しないとした帝京大の鑑定を退け
一致するとした科警研の鑑定を採用したことについて
泳動パターンの生データに基づいた検証がなされるべきだと思う。