地獄のハイウェイ

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足利事件再審での福島弘文を批判する

報道によると昨日の足利事件再審第3回公判で
信州大学教授での福島弘科警研所長が
旧鑑定に関して「大きなミスは見当たらない」と言ったそうだ。

足利事件のDNA鑑定については自分もいくつか記事を書いている。
足利事件DNA鑑定は酷い」(2009年6月24日)
足利事件DNA鑑定についてあまり語られていないこと」(2009年7月1日)

科警研のDNA鑑定が酷い代物でデタラメであったというのは
自分だけの判断ではない。
下野新聞の"「瓦解(上)」崩れた旧DNA型鑑定 「失敗」法廷で証人断言"
http://www.shimotsuke.co.jp/special/rasen/chapter2/20091209/250488
という記事によると第2回公判で弁護側証人の再鑑定人である本田克也筑波大教授は
旧鑑定でのDNA泳動パターンについて
「この写真から(DNA型判定の)鑑定は、百パーセントできない」
と述べたそうだし、検察側の再鑑定人である鈴木広一大阪医科大教授も
「はっきり言って、判読できません」
と述べたそうである。

第2回公判自体の様子は冤罪(誤判)防止コムのレポートが詳しい。
 http://www.enzaiboushi.com/500asikaga/-1121.html

それにも拘らず福島弘文は
「元のネガをスキャンして見れば、型は判定できる。方法は問題ない」
と述べたそうなのだからそのデタラメ振りには恐れ入る。

その第3回公判の様子については、
布川事件(再審決定)の被告である桜井昌司さんが傍聴記を書かれているが
http://blog.goo.ne.jp/syouji0124/e/6abc610d0edcc4373807c0a24c751d2c
報道されている以上に酷い証言だったようだ。

先に言及した冤罪(誤判)防止コムのレポートによると福島は
「DNA鑑定のはなし」という一般向けの啓蒙書を書いていてその中で
「最終的には最高裁での『無期懲役』が確定しました。」
とか書いているそうだ。
あの鑑定写真を知っていて、
なおかつこのようなことを「啓蒙」するというのは
国民の科学に関する無知に付け込んで誑かそうとする詐欺に近いと思う。
自分は福島のこの本を読んだわけではないのだが、
DNA鑑定の威力を宣伝して、それに国の予算を投入することに
「国民的理解を得る」ために書かれたかのようで何とも不愉快だ。

科学コミュニケーション業界の関係者は、
その活動を「科学者にとって都合の良いように国民を洗脳すること」と見なされないためにも
島弘文の行為を厳しく批判するべきではないだろうか。