地獄のハイウェイ

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科学技術予算の削減について

昨日の行政刷新会議による「事業仕分け」で
科学技術予算の削減が決まったようだ。
来るべきものが来たかなという感じがする。
正直な事を言えば自分の職場にもネガティブな影響があるので、
そうノンビリとしたことは言ってられないのであるが、
いわゆる「失われた10年」や就職氷河期(1993~2004年頃)にも
大学院重点化や科学技術基本法などで成長を続けた科学技術予算も
とうとう世間様並の冷たい風に曝されることになったという感じもする。
ちなみに大学院重点化は1991~2000年、「ポスドク一万人計画」が1996~2000年度だ。
資源小国の日本が国際経済で勝ち残るのには、
人材育成が基本だと言う議論に異論があるわけではないが、
上記の期間に投入された科学技術予算が
どれほど日本の経済的な成長に貢献したかを考えると
もちろん貢献した分野もあるにはあると思うのだが、
胸を張って答えられるかどうか果たして疑問だ。
突き放して言えば10年掛けても実現されない約束では、
世間の応援を得るのは難しいのではないかと思う。

一方で、科学技術予算の削減が決まったとは言え
第2次大戦での敗戦で失われた人的・物質的損失ほどには酷くない。
(自分の親は昭和ひとけたなので戦後の混乱期のことは子供の頃に時々聞かされた)
進駐軍によってサイクロトロンが海に沈められたのと比べればまだましだろう。
日本の科学技術が一時的に沈滞することになろうとも
それが復活できるようにするためには、
学位取得後に海外へ渡る人達のことも含めて
本当の意味での教育体制をどうするべきかを考えるべきなのだと思う。