地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

ローマ人と科学

伊東俊太郎の「近代科学の源流」(中公文庫)を読むと
エウクレイデス(ユークリッド)やアルキメデスといった
古代ヘレニズム科学はローマには十分には伝わらなかったようだ。
ローマは橋や道路といった建築や土木事業は盛んで優れていたが
実用に結びつかない科学的探求には冷淡であり
ラテン語での科学活動は極めて低調だったようだ。
また天動説のプトレマイオス
ローマ帝国の領内ではあるがアレキサンドリアの人であり、
ラテン語ではなくギリシア語で活動したため
ヘレニズム科学の最後の焔とでも呼ぶべきもののようで
当時のラテン語世界には伝えられなかったようである。
(今日伝わる「アルマゲスト」という書名はアラビア語への翻訳に基づく)

古代ヘレニズム科学の重要な古典は
ラテン語に移植されることがなかったため
その後のラテン語文化圏というかローマ・カソリック圏すなわち西欧は
12世紀ルネサンスまで古代科学の精華に触れる事ができなかった。

何だかローマが日本の現状と重なるように感じるのは気のせいだろうか?