地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

ストロンチウム90

自分が子供だった頃、中国が大気圏核実験をやっていて、
放射性物質が偏西風に乗って日本にも運ばれて来ていた。
それで核実験の後は親や先生から「雨に当たらないように」と注意を受け
子供同士で「放射能の雨に当たるとハゲるんやで」とか話していた。
その頃読んだ子供向きの科学読み物などにも
原子力の平和利用に関する楽天的な記事と共に
放射能の危険に関する解説が載っていた。
その解説の中に
ストロンチウムが骨の中のカルシウムと置き換わるので恐ろしい、
という記述があったことを今でもよく覚えている。
だから自分と近い世代の人の少なくない人が
今回の福島第1原発の事故で
ウランの核分裂生成物としてのストロンチウム90の情報が少ないことに
違和感を覚えているのではないかと思う。

現時点では「陸土及び植物の放射性ストロンチウム分析結果」
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/15/1304935_0412_1.pdf
くらいしか公的機関が公表したストロンチウム90の情報が見当たらないようだ。
ストロンチウム(沸点1382℃)はセシウム(沸点671℃)と比べると
空気中に放出される量はずっと少ないのだろうが
原発から漏れてきた高濃度汚染水ならそういう訳には行かなくなる。
そうなると海洋の汚染が心配なのだが、
今のところ情報が見当たらない。
福島県沖の海水および魚介類のストロンチウム90汚染のデータが
速やかに調査公表されないのなら
政府が国民に対して情報隠蔽をしているという疑いを拭えるはずもなかろう。