昨日、治験薬に被暗示性の亢進作用がある場合には、調べようとする治療効果が本当はなくても、二重盲検でもプラセボよりも薬効が高く評価されるのではないかという疑問を書いた。
そこでそのような被暗示性亢進作用の検出方法について考えてみたところ、実験のデザインを一つ思いついた。それは被暗示性の亢進が作用の本体であるなら、副作用に関しても暗示を与えた場合に、プラセボよりも副作用が強く出ること利用するものだ。
事前の安全性試験で出ない事を確かめているある副作用について、それが出る可能性があると(虚偽の)告知をした試験群とそのような告知をしない対照群の間で治験薬とプラセボの二重盲検法による比較を行い。問題となっている薬剤がプラセボよりも強い副作用を示すデータが得られれば、それはその薬剤が本来持っている副作用ではなく被暗示性の亢進によるものだろう。
例えば事前の安全性試験では便秘の副作用が確認できなかったにも拘らず、「便秘になる可能性があります」と告知した場合に、便秘になる被験者がプラセボよりも多いのならば、それは被暗示性の亢進を示していると判断すべきだろう。
ただこの方法だと虚偽の副作用を告知する点で、医療倫理上の問題がないではないので、プロの世界ではもっと良い方法が考えられているのだろう。