地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

TPPとかFTAを語らず科学技術立国を謳う愚

偏見かもしれないが科学技術の分野では相変わらず
「科学技術こそが日本が国際社会で生き残るためには必要」という立論で
予算をよこせという話が多いようだ。
それが必ずしも間違っているとは言わないが、
日本の将来を支えるために科学技術が必要だという人達が
現実の経済問題に十分な関心を持っているかどうかは正直結構怪しい。

昨日は菅内閣がTPP(Trans-Pacific Partnership)に関して基本方針を発表していたが、
これについて科学技術の関係者はどの程度意識しているのだろうか?
今TPP参加に乗り遅れると経済的損失はとても大きく
少々の技術的優位程度では覆い隠せないほど
日本の工業製品の価格競争力を削いでしまう恐れがある。

日本がTPPについてモタついている間にも、
強力なライバルである韓国がEUFTAを締結して
日本が取り残されることが懸念されている。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/448526/
こういう問題に関して十分な関心を払わないで
「日本の科学技術を支えるためには基礎研究が大事なんです」なんて訴えるのは、
喩えが悪くて恐縮だが、
ボクシングの試合で現実に殴り合っている最中に
「正しいコンビネーションにはシャドー練習が大事なんです」と
高邁な理想を語るくらい間の抜けたことのように思われる。

日本の経済発展に寄与するという大義名分を立てるなら
現実の経済競争についても最低限の認識を持つべきだろう。