地獄のハイウェイ

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科学技術者の潜在的政治力

先日もTPP(Trans-Pacific Partnership)について触れたが、
菅内閣は基本方針を今日の閣議で決定したそうだ。
菅首相は「平成の開国」と強調しているそうだが、
早速、農業関係者からは反対の声が上がっているようだ。

それでふと日本の農業人口ってどの位なのだろうと調べてみたところ
総務省統計局にデータがあった。
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g1507.htm
http://www.stat.go.jp/data/nihon/zuhyou/07syo/n0700100.xls
それによると平成20年の時点で農業所得を主とする農業就業人口は298.6万人、
その中に60歳以上の男99.7万人、女が110.7万人で
高齢者が占める割合がなんと70%に達する。
農業就業人口の推移を見ると平成2年からのデータで起算すると
傾きが-9.68万人/年でほぼ単調に減少していている(R2=0.987)。
この傾向が続けば平成25年には農業就業人口は250万人程度になりそうだ。
(因みに2010年の速報値で260万人という値も出ている)
このような衰退しつつある農業をどうするのかという問題はさておき、
まだまだ農業関係者は政治勢力としてはパワーを持っていて
既にTPP反対で県知事などの地方の首長を動かしているようだ。

ところで科学技術関係者というのはどの位の人口か調べると
総務省統計局のデータ(http://www.stat.go.jp/data/kagaku/pamphlet/s-04.htm )では
平成21年の時点で研究者が83.9万人、研究支援者が22.6万人で合計すると106.5万人。
研究者だけで60歳未満の農業就業人口88.6万人とほぼ互角の値だ。
政治勢力として考えると農業関係者のそれに迫るようなレベルの
潜在的な政治力を持っていてもおかしくはない。
昨年の仕分け騒動以来、
科学技術関係者の政治的働きかけも増えてきたようだが、
まだまだその力は眠ったままのようだ。