地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

博士

もしかして「無職お断り」か?

知っている人には今更だが、転職しようとしている研究者に研究系の求人情報を紹介する科学技術振興機構が運営するJREC-IN Portalというのがある。次のポストを探すポスドクも当然のこと、求職者側としてこれを利用するわけであるが、求職者ユーザーとして登…

博士課程進学者の減少について

国内の大学院で博士課程への進学者数が減少していることについて、我が国の研究力の低下に繋がることを心配する声を一部で見掛けたりする。そういう背景もあってなのか昨年末には文部科学省が博士課程進学者1万5000人に生活費相当額の支援を行うという政策を…

西村玲さんの自死を巡る報道への違和感

4月10日付の朝日新聞の記事 「文系の博士課程「進むと破滅」ある女性研究者の自死」が発端になって 文系博士の就職難があれこれと取りざたされている。 若くして業績が表彰されていた西村玲さんの自死の理由が 「多くの大学に就職を断られ、追い詰められた末…

理学系とくにバイオ分野では博士課程へ進むのは無謀

科学技術・学術政策研究所から「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」 http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-postdoc2012-PressJ.pdf とうのが出たので見て驚いたのだが、博士課程に在籍する学生では理学系(5,178人)は工学系(13,…

早稲田での学位取得者は博士として雇用するな

小保方晴子の学位論文に関する早稲田大学の調査委員会が 「多数の問題箇所があり、内容の信憑性及び妥当性は著しく低い。そのため、仮に博士論文の審査体制等に重大な欠陥、不備がなければ、本件博士論文が博士論文として合格し、小保方氏に対して博士学位が…

未熟だという自覚があるなら職を辞し学位を返上して修士からやり直せ

自分は映像などは見ていないのだが、 数日前にSTAP事件の小保方晴子が記者会見した際に、 「未熟だった」とか言い訳していると報道されているのを見て 無性に腹が立ってしょうがない。 ユニットリーダーという地位に就いている プロフェッショナルな研究者の…

文系の話はそこだけの話じゃないの

新井克弥さんという人の「大学院という学歴ロンダリング」 http://blogs.yahoo.co.jp/mediakatsuya/64803939.html という記事を読んだのだが、 過度に一般化しすぎているような気がする。 ブログ中では文系と限定されているし、 この人の周辺ではそうだった…

さよならLoopyと呼ばれたPh.D.

鳩山由紀夫元首相が衆院選に立候補せずに、 政界を引退することを正式表明したそうだ。 まあ首相をやめるときに次の選挙には出ないと既に言っていたので、 何を今更という気がする。 それはともかく、 鳩山元首相はスタンフォードで学位をとった本物のPh.D.…

「夢」を「恋」に置き換えて

最近知ったのだが、モーニングの編集長である島田英二郎氏の 「「あきらめなければ夢は必ずかなう」ほど悪質な言説はない」 というツィッターでの発言が2ヶ月ほど前に話題を呼んでいたようだ。 http://togetter.com/li/265933 それでふと思ったのだが 「あき…

大学院生は研究者を目指すのが自然

「大隅典子の仙台通信」に 「任期付ポジションについて考える」http://nosumi.exblog.jp/15782092 という記事が出ていた。 その中にあった記述、 「日本では人口1万人当たりの研究者数は、2010年の時点で65.6人と、主要な国々の中でもっとも多い(平成23年度…

競争率の問題じゃなくてリスクの問題

若手研究者のポストを巡る競争の激しさとかそういった話題になると 「誰もが憧れの職業に就けないのは当たり前」とかの意見を見掛ける。 それはプロスポーツでもエンターテインメント業界でも似たようなものだろう。 ただそういう大雑把な比較だと見逃されて…

本気で研究したかったら日本の科学の将来なんて心配するな

若手研究者の生存競争云々とかの話題になると 「日本の科学の将来を憂える」とかそういう意見が出てくる。 そういう心配をする人の気持ちが判らない訳ではないけれど、 そういうのはある種の業界「村」的な発想であって、 これからチャレンジしようとする若…

理系の研究者になりたい人達にも言えること

gorotakuさんという方の「文系の研究者になりたい人達に知っておいてほしいこと」 http://d.hatena.ne.jp/gorotaku/20120105/1325752298 という記事を見て思ったのだが、公募の話は理系でも大きくは変わらない。 「公募においては、あなたがどんな優れた実績…

脱落者の方が多数派なのに

菊池俊郎「院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド」を読んだ。 若手に向けたアカデミアで研究者として生き残るための助言ということで 内容そのものは割と常識的なもので読んで損ということはない。 しかし本書のp.20のFig.1-05という表の博士課程…

アカデミア周辺で生きる

先日の「漂流する博士は定着できるのか?」で書いたことの続きで少し考えた。 アカデミアからの転進組が 完全なノンアカデミックな職場で正規雇用で定着できるのかというと、 それは難しいということになる。 そうなると契約社員とか派遣社員とかいった 「非…

漂流する博士は定着できるのか?

博士のノンアカデミック・キャリアのことを考えていて、 ちょっと気になったことがある。 それは、ノンアカデミック・キャリアを選んだ博士達は、 もしもアカデミアに戻るチャンスを得たら 今働いている職場を辞めることに躊躇するのだろうかという疑問であ…

野では咲かぬか博士号

つい先日知ったのだが、 「博士漂流時代」の著者である榎木英介さんは 8月から近大医学部の講師になられたようだ。 http://researchmap.jp/enodon/ 前職の地方市民病院では研究は容易ではなかったので、 アカデミック・キャリアに戻ることを選ばれたのだろう…

統計から見た博士の優秀さ

頭の良さというのは決して単純なものではないけれど、 記憶力であるとか言語能力とか推理力といった能力が優秀な人は、 理解が早くて物覚えが良いから「頭が良い」という印象を受ける そしてそういう頭の良さが学業成績に反映することは、 多くの人の認める…

博士号にどの程度の意味があるのだろうか

講談社ブルーバックスの「現代人のための高校理科」シリーズや、 文一総合出版の「新しい科学の教科書」シリーズといった 数多くの理科教育書で知られる 左巻健男・法政大学教授がそのブログで、 「検索で2chでぼくが博士号無し、工業高出身など学歴などをバ…

コンサルティングでは技術士はプロ、博士は?

理工系の博士を市民が個別の問題について相談するための、 医師や弁護士に相当する科学コミュニケーションの専門家とみなすことに 賛成できないのは先日書いたが、 医師や弁護士に相当するのは博士ではなく技術士だろう - 地獄のハイウェイ そこで書き漏らし…

技術士と博士を関連付けよう

昨夜の記事(医師や弁護士に相当するのは博士ではなく技術士だろう - 地獄のハイウェイ)の続きで、 技術士と理学・工学分野の博士の間の関連付けについて考える。 医師や弁護士のような無資格者の業務を排除するような 独占的な地位が技術士には与えられて…

医師や弁護士に相当するのは博士ではなく技術士だろう

医師や弁護士が担っているような、 個別の問題について市民が相談する専門家という パーソナルな科学コミュニケーションの担い手について、 榎木英介さんが書いておられる。 http://d.hatena.ne.jp/scicom/20110725/p1 「医療や法律だけでなく、科学技術に関…

バイオ系博士の窮乏はアカデミアの自業自得かも

ポスドクは本来は自分で論文を書く一人前の研究者だが、ライフサイエンス/バイオ系では、ネットスラングで「ピペド」と呼ばれるような、研究者というよりも研究補助者扱いを受けているらしい。 日本は基礎科学の中でもライフサイエンス系が欧米より遅れてい…

バイオは近代科学ではないのかも知れない

先日の「適材適所ならバイオ系は工学系技術者に相応しいとは言えない」 という記事を書いた後で見つけたものなのだが、 生化学若い研究者の会の「ポスドク問題の解決:後編 理工系教育の見直し」 http://www.seikawakate.org/archives/777 という2009年12月2…

適材適所ならバイオ系は工学系技術者に相応しいとは言えない

榎木英介「博士漂流時代」を読んだ。 内容に関しては自分がこれまで言ってきた論点と共通するものも多く、 特に異論を言うべきことは、ほとんどないのだが、 あえてはっきり言っておいた方が良いと思ったことが一つだけある。 それは第4章の「博士は使わない…

博士の就活へのささやかな助言

大学生の内定率が史上最低だとかの報道を見ると、 産業界に就職しようとしている博士の就職戦線も 例年にも増して厳しいものがあるということは分かる。 そういう中での就活にわずかでも足しになればと思って 必ずしも研究職に限定しない助言めいたものを少…

博士であっても「餅は餅屋」

博士の就職問題で、 企業への就職が難しい分野の博士を、 就職がありそうな比較的近い分野で技術者にする云々という意見がある。 (例えば、http://d.hatena.ne.jp/scicom/20100927/p1 ) そういうことが悪いこととは思わないが、 その就職がありそうな分野…

単なる「個人」が研究できるのか?

榎木英介さんが「科学政策ニュースクリップ」の 「書評 水月昭道著 ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院(光文社新書)」 http://d.hatena.ne.jp/scicom/20100919/p1 という記事の中で、 本書を読み進めながら思ったのは、水月さんはじめ、博士が…

優秀な人材を育てるのかそれとも選抜するのか

以前にも書いたことがあるが、近年の博士課程進学者数は四半世紀程前の修士課程進学者数とあまり変わらない水準である。 https://katsuya-440.hatenablog.com/entry/51832785 社会の中での博士の需要がこの四半世紀でそれほど増えた訳ではないからこそ、いわ…

首都圏の普通作業員 ○ - ● 研究支援パートタイマー(博士)

国土交通省の「公共工事設計労務単価」というものがある。 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/const/market/roumutanka/top.html 公共工事の工事費積算のために調査して決定されるものだそうだ。 Q&Aを見ると学生アルバイト、見習いでも対象に含まれるとの…