地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

近代西洋科学が誕生した頃

日本人が近代西洋科学の優秀性を認めたのは
江戸時代の蘭学に始まると見て良いと思うが、
蘭学の中で最も中心的な医学であったことは良く知られている。
杉田玄白前野良沢らがオランダの解剖学書を苦心して翻訳し、
「解体新書」(1774)を出版したのは中学でも習う有名な逸話だ。

江戸時代の医師達をして感嘆せしめた
西洋医学の解剖学的知識の正確さの出発点となったのは
アンドレアス・ヴェサリウスの「ファブリカ」(1543)である。
この「ファブリカ」の出版年が
コペルニクスの「天球の回転について」と同じであることは
ちょっと科学史を齧ったことのある人には良く知られた話だ。

そこで「ファブリカ」と「天球の回転について」が出版された1543年頃の
コペルニクスからヴェサリウスまでの何人かの著名な人物を生年順に並べてみた。

コペルニクス(1473~1543)、天文学者、地動説
ミケランジェロ(1475~1564)、画家・彫刻家
ルター(1483~1546)、宗教改革
パラケルスス(1493~1541)、医学者、錬金術
アグリコラ(1494~1555)、鉱山学者
タルタリア(1499/1500~1557)、数学者
カルダーノ(1501~1576)、数学者
アンブロワーズ・パレ(1510~1590)、近代外科学の祖
メルカトル(1512~1594)、地理学者
ヴェサリウス (1514~1564)、近代解剖学の父

壮観というかこの時代に、
西欧で大きな知の地殻変動が起きていたことがよく判る。