地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

一流の片手間vs.二流の全力

有力な研究者になると複数のプロジェクトに従事していたりするし、
複数のポジション(大学と理研とか)を兼務していることも珍しくない。
必ずしも悪いことだとは思わないが日本全体の研究効率を考えると
無条件に肯定できるものでもないと思う。

単純なモデルで考えて、
研究者の生産性(論文生産性)はそれに使う研究時間に比例するとする。
そこでAという研究者の生産性を PAで表わし、研究時間を TAで表わすと
PA=αA×TAという式に書ける。
ここで比例係数αの大小が研究者の研究能力を反映しているという見立てだ。
そこである特定のプロジェクト部分だけ考えると
T(A)の中のそのプロジェクトに充てた割合(つまり科研費なんかのエフォート)EAを考えて
αA×EA×TAということになるだろう。

ここでAとBいう2人の研究者の比較をしたとき、TA=TBであると仮定すると、

 αA×EA≧αB×TB

になるのは、

 αA/αB≧EB/EA

のときであるのは明らか。

例えば、αA=100、αB=25とすると、EB/EA≦4でないと
当該プロジェクトに関する生産性は研究者Bの方が高くなる。
仮にAのエフォートが10%で、Bが50%のエフォートであれば
そのプロジェクトは研究者Bに任せた方が効率が良いということになる。

くどくどと書いてきたが要するに、
能力が4分の一なら4倍以上働けば良いということなのだ。
現実はこんなに単純ではなく、もっと複雑だろうけれど、
一流の研究者に片手間でやらせるよりも
二流の研究者に全力で取り組ませた方が
そのプロジェクトの進捗が期待できるということはありそうに思う。