地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

もっと科学を!

STAP細胞事件が切っ掛けで
素人ながら幹細胞研究とかリプログラミングについて
ちょっと調べてみたのだが
多能性獲得とか未分化状態維持のメカニズムとかは
まだまだ詳しくわかっていないところが多いようだ。

ところが再生医療とかそっち方面の応用の期待からか、
一部を除けば基礎的な現象の解析はそっちのけで、
応用面の技術開発ばかりに研究が集中しているように見える。
一方で政策的に多額の予算が投入されているなど
金になるからなのか功名心にはやるからなのか、
今回のSTAP細胞事件に至るまでも
外国のケースだが韓国の黄禹錫の捏造とか
著名な研究不正が多発している印象がある。

しかし基礎研究が疎かになっているためなのか、
かなり怪しげな「画期的手法」が発表されても
それに対する的確な評価を行なうことが難しいようだ。
仮にリプログラミングのメカニズムが詳細まで解明されていたら
それまでの常識を大きく超えるような現象の発見には
多くの専門家が疑問を表明したのではないかと思うが、
今回のSTAP細胞事件でも理研の発表当初に、
現象そのものに疑問を表明した専門家は必ずしも多くないようだ。

今回の事件に対する理研や関係学会の対応次第では、
深刻な信用失墜に繋がりかねない。
幹細胞研究はこれまでどちらかというと、
応用である再生医療方面からの研究が主流のようだが、
日本の発生生物学はアクチビンの浅島誠とか
カドヘリンの竹市雅俊(渦中の理研、発生・再生科学総合研究センター長だが)とか
基礎研究方面で立派な成果も挙げてきているのだから
もっと基礎的な発生生物学的な研究を優先すべきではないだろうか。
たとえ応用面の成果で外国に先を越されたとしても
ここで軌道修正してもっと地味な基礎研究に重点を置いた方が
国際的な科学界からの信頼回復を図る上でも良いのではないだろうか。