地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

研究不正は世間から糾弾されて当然

STAP事件についての理研の調査報告は喩えて言うと、
表向きは立派な組織が裏で密入国犯罪をやっている中で、
パスポートの偽造屋が下手くそなために偽造がばれてしまって、
組織の方が「パスポートの偽造は単独犯です」とか主張しているみたいだ、
というのが正直な感想。

ところでネットを見ていると一部で、
研究不正については科学界から追放するなりのケジメをつけるから、
一般世間は個人攻撃とかするなとかの意見が見られる。
しかし自分はそれは通用しないと思う。
というのは、科学者は趣味とか娯楽の内輪の世界の中で生きているのではなく、
一般社会の中で専門的な職業人として位置づけられているから。

科学者は自分たちの仕事というのは、
論文を書いて科学界での評価を受けることだとみなしがちだ。
しかしそれだけだったら、
オタク趣味の同人誌の中で仲間の評価を求めてることと大差ないだろう。
ところがオタク趣味の世界でいくら賞賛されても、
世間的には大して評価はされないだろうし、
また世間から正当な評価を受けていないとか文句を言うのもお門違いだ。
よく考えてみると、
科学者が「国は科学を振興する責務がある」とかそんな台詞を言えるのは
世間から高く評価される存在だからなのだ。
科学者自身は不十分だと思いがちなのかもしれないが
世間から自然界の物事についての専門職として尊重されているからこそ、
政府から諮問を受けたりあるいは裁判では鑑定を依頼されたりするわけだ。
職業的な科学者というのものは
そういう公共的使命と社会的役割を負託される専門的職業人、
プロフェッションとみなされているのだ。

そういうプロが本業の方でインチキをやっているとかであれば、
社会的な制裁を加えられて不思議はないのではないか。
考えても見て欲しい、
研究の上で証拠を捏造するような科学者に裁判の鑑定など任せらない。
だから科学者の不正行為については許されないし、
世間が厳しく糾弾したって当然ではないか。