地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

Bad Science

 B.ゴールドエイカー『デタラメ健康科学』(原題:Bad Science)を読んだ。ホメオパシーのような代替療法から製薬会社のインチキや、マス・メディアの報道の問題など広く取り上げた一般向けの書籍。いわゆるニセ科学問題を考える上で非常に良いと思った。


 ホメオパシーなどの代替医療のデタラメ振りを取り上げるだけでなく、サプリメント業界の怪しさとか製薬会社が絡む研究不正(データの加工や隠匿)や、根拠の乏しい妄説をぶち上げてマスコミの寵児になっている研究者とか、そういう「科学」を謳ったデタラメ全体に厳しい批判を加えている点が好感が持てる。

 とかくニセ科学問題だと「科学者と名乗る資格のない」変人とか詐欺師といった部外者が勝手に科学を自称しているのがケシカラン式の正統論の雰囲気で、科学として公式に流通しているもの中のデタラメに対しては甘い傾向があって、個人的にはかなり不満を覚えていたので、この本の姿勢には共感できるところがある。


 代替医療に嵌る人は既存の医療に対する不信感を持っていることが少なくないので、その点でも製薬業界の邪なやり口を糾弾するのはバランスがとれていて良いと思う。邦題のように「健康」に関する話題に限定されているが、自分が考えてきたことの多くが書かれた書物だと思った。