地獄のハイウェイ

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秋篠宮悠仁親王殿下の論文って研究ミスコンダクトではないのか?

 秋篠宮悠仁親王殿下が筆頭著者になった論文が発表されたというニュースがあって、ちょっとびっくりしてしまった。悠仁親王殿下はまだ高校生でいらっしゃるので、学術論文で筆頭著者になるような研究実態があるのだろうかというのは当然の疑問である。

 それで調べてみると、秋篠宮悠仁、飯島健、清拓哉「赤坂御用地のトンボ相」(国立科学博物館研究報告 A類(動物学). 49, 129–153 (2023))というのが問題の論文のようだ。「国立科学博物館研究報告 」は著者の少なくとも1名が国立科学博物館の職員であることが要求されるので、雑誌というよりも科学博物館の紀要のようだが、それにしても査読ありの論文である。責任著者は科学博物館の清拓哉という人のようだが、論文の研究のどの程度が、悠仁親王殿下の寄与なのだろうか?旧帝大の理系の学生でも研究室配属前の3回生だと、よほど優秀でないと学生実験のレポートに毛の生えたような代物しか書けないのだから、悠仁親王殿下が執筆されたとするのは無理がありすぎる。

 規範のゆるゆるの分野もあるにはあるようだが、研究倫理の標準的な教材にあるような理解では、学術論文のオーサーシップは例えば2015年に学術会議がまとめた「 科学研究における健全性の向上について」という報告の中では

研究成果の発表物(論文)の「著者」となることができる要件は、当該研究の中で
重要な貢献を果たしていることである。例えば、①研究の企画・構想、若しくは調査・実験の遂行に本質的な貢献、又は実験・観測データの取得や解析、又は理論的解釈やモデル構築など、当該研究に対する実質的な寄与をなしていること、②論文の草稿を執筆したり、論文の重要な箇所に関する意見を表明して論文の完成に寄与していること、③論文の最終版を承認し、論文の内容について説明できること、の全ての要件を満たす者について著者としてのオーサーシップを付与することが考えられる  。

とある。そこで件の論文の方であるが、中を読むと

赤坂御用地のトンボ類については,2002年から2004年にかけて,初めて調査が行われ,24種が確認された(斉藤ほか,2005)が,その後,赤坂御用地におけるトンボ類の調査報告は,15年以上行われていない.著者らは,2012年から2022年にかけて赤坂御用地内のトンボ類を調査しており,本論文ではその調査内容を報告するとともに,前回の調査結果と比較した内容についても報告する.

(アンダーラインは引用者による)

この部分から判るように2012年に研究が開始されているので、この研究の企画・構想に関しては2012年に小学生だった悠仁親王殿下によるものではないこことは明白であろう。悠仁親王殿下は観測データの取得に関しては貢献(どのくらい?)があるのかもしれないが、論文の内容について説明されることが可能なのであろうか?その貢献に比して不相応であるならギフトオーサーシップと言わざるを得ないのではないだろうか。