地獄のハイウェイ

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2010年問題(≒2007年問題)を再考する

団塊の世代の定年退職に関する、いわゆる2007年問題では
経験豊富な人材が大量に会社を去ることにより、
ノウハウを含む職場で必要とされる技術・技能の伝承に
支障が生じることが危惧されている。
もちろんそれはその通りなのだが、
この問題には重要な側面が等閑視されているのではないかと思う。
それは「教育の2006年問題」(「大学の2006年問題」とも)との関連である。

教育の2006年問題というのは、
大学に学習内容が大幅に削減された「ゆとり教育」による新入生が進学することで
それが2006年(つまり今年)からなのでこの名があるのだが、
高校時代に「ゆとり教育」を受けた大学生が卒業するのは
単純に計算すると2010年からになる。
大学への進学率は約50%、専門学校への進学率が約20%なので
ゆとり教育世代の就職は2010年からピークを迎えることになる。

一方、団塊の世代は第1次ベビーブーム(1947~1949年)生まれなのだから
彼らの定年退職の波は、始まりこそ2007年だが2010年まで続くことになる。
(このため2007年問題は一部では2010年問題とも呼ばれていたようだ)
つまり団塊の世代が定年退職の波が過ぎ去ったところに
ゆとり教育世代の就職の波が重なってくるのである。

団塊の世代の定年による技術・技能の断絶の危機への対処として
新卒の採用の拡大とか企業内での技能伝承の制度化とか色々と考えられているが、
採用される新卒者が「ゆとり教育世代」であるということは
この問題をより深刻にしていると考えなければならないのではないか。