地獄のハイウェイ

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神戸大学特許取り下げ事件(続)

以前に取り上げた


神戸大学工学部の特許取り下げ事件の続報があった。
報道によると大前伸夫教授と中井哲男教授が訓告、
田川雅人助教授には口頭厳重注意だそうだ。
実際には実験していないデータが記載されていたことに対して
調査委員会は「研究者の倫理に照らせば適切さを欠く」としているそうだが、
特許は発明(=アイデア)を保護するためものだから、
明細書に書いてあるかどうかが客観的な事実よりも重要なのだ。
従ってその発明を他者に勝手に利用されないためにも
できるだけ広い範囲の応用を想定して明細書を作成するものだ。
今回のケースでは実際には実験していないデータが問題視されているが
営利企業においては
実際には未実施だろうと想定される実施例を明細書に書いておかないのは
特許を台無しにするものとして許容されないだろう。
だから架空の実施例を記載してはいけないということになると、
大学との共同出願はご免だという企業が続出することになるのではないか。
営利企業と同じように行動できないのであれば
大学も特許で儲けようなんて考えは、
捨てた方が良いのではないだろうか?

トラックバック先の追加(2006.7.19)

Pecanさんのブログサイト「只今療養中」
2006年07月14日付エントリ「神戸大学教授特許捏造問題に一応の決着」
http://pecan.cocolog-nifty.com/fudge/2006/07/post_906e.html
及び
2006年07月17日付エントリ「神大教授・特許データ捏造問題・・・企業も姿勢を正すべき」
http://pecan.cocolog-nifty.com/fudge/2006/07/post_775f.html
特許の専門家の立場から丁寧にまとめられていて非常に参考になるので
トラックバックしておきます。