地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

ニセ科学リスト

芹沢さんという方のブログ「妄想科學日報」の
「覚えておきたい、ニセ科学リスト」
http://d.hatena.ne.jp/DocSeri/20071128/1196234450
という記事が話題を呼んでいるようだ。
これまでも疑似科学・インチキ療法を批判的に紹介するサイトはいくつもあったが
(例えばウィキペディアにも「疑似科学」の項はある)
疑似科学ニセ科学をめぐる状況の変化に応じて
リニューアルというかバージョンアップが望まれるから
その試みの一つして評価したいと思う。

こういう試みは複数の人間によって相互にチェックを加え、
内容を洗練していけば良いのではないかと思う。

それで気の付いた点にコメントを加えてみることにする。

経皮毒」という項目では

皮膚から毒性物質が吸収されて内蔵に蓄積するという説。経皮吸収される物質があること自体は否定しないが、主に「シャンプーには毒が含まれているので、出産時に子宮からシャンプーの匂いがする」などという脅迫めいた説明とともに「安全なシャンプー」を売り付けるためのデマ。

仮に経皮吸収される毒が入っているなら、まず最初に頭皮付近から症状が現れるはずで、内蔵中最も遠い子宮に強く影響する筈がない。


となっているが、特に「仮に経皮吸収される」以降の部分は、
説明自体が科学的に見て正しくないだろう。
例えば、テトラエチル鉛は経皮吸収による毒性が知られているし
しかも毒の標的となる組織は中枢神経だ。
http://www.jaish.gr.jp/anzen/mms/datasheet/mms-21201.html
毒物のいくつかは肝臓で代謝されることで毒性を示すものもあり、
また特定の臓器や胎児に濃縮されるものもある(水銀にはそういう傾向がある)。
だから後半の「仮に経皮吸収される」以降の部分は削ってしまった方が良いだろう。

また全体に見て項目がやや多すぎるようにも思われる。
網羅的な方が良いという考えもあるだろうが、
ある程度代表的なものを絞って各人にリストを増やすように誘導した方が、
頭からリストを覚えるよりもそれらが何故ニセ科学なのかを考える契機になって
良いのではないかとも思う。
新たなニセ科学を「載っていないから本物」なんて早合点するような向きもあるだろうから
リストに欠落があることを前面に出して行くことで
初心者が「とりあえず覚えておいた方が良い」リストになるのではないか。
そういう点であまりマイナーで実害が少なそうな項目(例えば与那国海底遺跡など)は
思い切って外してしまった方が良いのではないかと思う。

それにしても今回の芹沢さんのリストが反響を呼ぶということには、、
ネット上にこれまでもニセ科学疑似科学に関する百科事典的な情報があるということが
必ずしも多くの人に知られていなかったのだろうかと疑問を抱かざるを得ない。