東北大学大学院理学研究科の院生の方の自殺の原因は、
指導教官の不適切な指導によるものだという内部調査結果が出た、
というニュースが数日前にあった。
東北大学のサイトを見たところでは報告書はネットには公開されていないようだが、
この種の事件は緘口令が敷かれて関係者が口を閉ざし闇に葬られることが多いだけに、
表沙汰になったというのは相当に悪質だったのではないかと思う。
(京大の工学研究科の院生自殺の場合は調査委員会が「アカハラは確認できなかった」と結論)
一部の報道によると学術資源研究公開センターの中の研究室のようなので
恐らく少人数の研究室で非常に閉鎖的な人間関係の中で追い詰められたのではないかと想像する。
そして亡くなった院生の方が生物関係の研究をされていたということであれば、
古生物学とか分類学といったアカデミア以外に就職の難しそうな分野であったのだろう。
そういうような環境であれば、
学位を取らしてもらえないことで進路に全く希望が持てなくなり、
とてもつらい状況だったのではないかと思うと胸が痛む。
博士課程の審査のやり方は大学はおろか研究科によって相当に違うようなので
同じような水準の研究でも学位が授与される大学もされない大学もあるので
それなりの人が学位をとれて優秀な人が学位を取れなかったりする理不尽な現実も
亡くなった院生の方を苦しめただろうことは想像に難くない。
またかなりマイナーな分野になるとアカデミアの中の関連する研究室が、
一門会よろしくほとんど皆先輩後輩で固められていて
うかつに進路について相談しようものなら筒抜けになってしまう恐れが強くて
悩みを一人で抱えがちということもあるのだろうとも思う。
(自分がいた研究室も関連研究室の院生の名前が全部覚えられるくらいマイナー分野だった)
運悪く酷い指導教員にあたってしまった場合には
研究室をやめるのが一番安全な手段だと思うが、
同じ大学院の中で研究室を替えるのでは、
マイナー分野の研究を志した人にとっては進学理由を否定するに等しい。
それだったら研究を諦めるのとあまり差がないかもしれない。
大学院を替えることが容易だったら他の人に相談することが楽になるのにとは思う。