天文学が人気あるというのは先日も書いたが
熱心な天文ファンというのはどのくらいの人数なのだろうか。
「天文ガイド」が公称8万部だそうだから、
自分の天体望遠鏡で星空を観測するようなコアなファンは
10万人程度といったところなのだろう。
ところで、バイオサイエンスの場合には、
研究者とサイエンスにおけるコミュニケーションが可能なレベル、
基本的な知識と科学的な探求の手続きについて学んだ人は、
一体どのくらいいるのだろう。
少し古めのデータだが、(社)バイオ産業情報化コンソーシアム(JBIC)が
2004年に「バイオインフォマティクス技術者認定制度」を開始した際のプレスリリースでは
http://www.jbic.or.jp/newsrelease/20040628001/news_040628.html
潜在的な受験対象者の見積もりで、
医・薬を含んだ生物系専攻の学生数を1学年あたり4.6万人と推定している。
また、前にも紹介した「政府統計の総合窓口(e-Stat)」から
平成20年度の「関係学科別 学生数」の1年次在籍学生数を調べると
理学部生物学科1,886人、農学部農学科・農芸化学科4,627人、医学部7,715人、薬学部13,983人で
合計すると28,211人となる。
この数字には工学部系が入っていないのだが、
ざっと見積もって約3万人といったところだろうか。
仮に医学部を除いたとしても2万人を超えているだろう。
これらのデータから見ると大雑把な見積もりだが、
バイオサイエンスに関してオリジナルな貢献をすることはなくても、
基本的な知識と研究の初歩について学んだ卒業生は
ここ数年だけで10万人程の規模に達しているわけだ。
だからコアな天文ファンに劣らぬ数の人間が
バイオサイエンスについて単なる受容者ではなく
能動的な関与者であった経験があると考えることもできる。
各種学会の行事でこういった卒業生を対象にしたものは少ないようだが
これから学ぼうという高校生や子供達だけではなく
卒業生達をもっと大事しても良いようにも思う。
科学コミュニケーションなどでも、
こういった人材にもっと期待しても良いのではないだろうか。