地獄のハイウェイ

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帰納法を疑わないのなら反証主義はいらないだろう

先日、懐疑主義疑似科学についてちょっと書いたが、
「健全な懐疑主義」とか「科学的懐疑主義」というのは
ヒュームとかの哲学的な懐疑主義とは違うということだ。
それで英語版のWikipediaを見てみると
http://en.wikipedia.org/wiki/Scientific_skepticism
Scientific skepticism uses critical thinking and inductive reasoning while attempting to oppose claims made which lack suitable evidential basis.
「適切な証拠を欠く主張への反対を試みるに当たって、批判的思考と帰納的推論を用いる」

という文章を見掛けた。

帰納的推論が正当化できるかということはヒュームの懐疑として有名なのだが、
ポパーは科学が帰納的方法なしでやっていけることを示すために
反証主義を示してヒュームの懐疑を回避したのではなかったのか。
発見法としてではなく正当化の方法としての帰納的推論は使えないし
本物の科学は正当化の方法として帰納的推論を使わないというのが
ポパー反証主義のエッセンスだったのではないだろうか。

だから「健全な懐疑主義」とか「科学的懐疑主義」が、
帰納法を正当化の方法として認めるのなら、
反証主義はいらないというか本来は両立しないものだろう。